ホームサステナビリティ環境への取り組み生物多様性の保全・回復

生物多様性の保全・回復


最も生物多様性とのかかわりがあるのは鉱山と認識しています。
鉱山の開発、操業から跡地の利用にいたるまで地元との協働により、ネイチャーポジティブを目指しています。

採掘による環境影響

 当社グループは鉱山を開発・操業するにあたり、地域の生態系保全と地元の振興を両立することが重要であると考えています。この基本的な考え方に基づき、地方行政、地域社会、学識者との意見交換をふまえつつ、公鉱害の防止はもとより、生物多様性ならびに水資源の保全など、環境影響を最小化できるよう鉱山の運営に努めています。

鉱山の採掘による環境影響

環境影響の低減

 セメントの製造は主原料である石灰石を鉱山で採掘するところからはじまり、骨材や工業原料など資源品の多くも鉱山で採掘しています。鉱山では森林を伐採し、表土を掘削して、石灰石を採取するため、開発区域の環境や生態系への影響は避けられません。ただし、当社が採掘している石灰石、土砂類などは粉砕・粒度調整のみで製品化するため、化学的な汚染を周辺に及ぼす可能性はきわめて低くなっています。また、石灰石鉱山では採掘する際に発生した捨石についても、建設用資材などとして有効利用するよう努めています。

カナマルマイマイ(三重県環境保全事業団提供)三重県指定希少野生動植物のひとつで藤原鉱山で保護活動を推進している

カナマルマイマイ(三重県環境保全事業団提供)
三重県指定希少野生動植物のひとつで藤原鉱山で保護活動を推進している

当社グループの石灰石鉱山の状況

 当社グループの主要な石灰石鉱山はセメント工場の近くに位置し、全世界で19カ所、合計5,355haあります。
 GCCAのガイドラインに基づき、バードライフ・インターナショナルが提供するIBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)を用いて、当社グループの石灰石鉱山とICUN(国際自然保護連合)が定める自然保護地域との位置関係を分析し、生物多様性評価を行っています。
 生物多様性価値があるとされる地域※に含まれる鉱山は日本で2カ所あり、海外においてはありません。これに該当する鉱山も含めいずれの鉱山も、行政当局の操業許可のもと環境に配慮した採掘を実施しています。採掘跡地では緑化など環境回復に向けた計画にそって実施しています。なお、生物多様性などの問題で係争となっている事項は起きていません。

当社グループの石灰石鉱山(GCCA)
地域 鉱山数 面積(ha) 該当
鉱山数
日本 13 2,835 2
米国 4 1,903 0
アジア・パシフィック 2 617 0
回復計画のある鉱山の割合(%) 95

※主に管理活動を通じた生息地の保全を目的とする保護地域のこと。IUCN自然保護地域カテゴリⅣ(種と生息地管理地域)に含まれる。

環境保全活動

環境影響評価

 当社グループは鉱山を開発・操業するにあたり、地域の生態系保全と地元の振興を両立することが重要だと考えています。鉱山の開発にあたっては、開発地域の生物多様性や水資源を含む環境調査を基に、鉱山開発が環境に与える影響を専門家の協力を仰ぎながら事前評価しています。その結果についてステークホルダーとの意見交換を行い、開発計画を定めます。開発中や操業中も周辺の環境を定期的に監視し、鉱山が周辺に与えている環境影響についてステークホルダーに報告しています。

30by30アライアンスへの参加

 当社グループは生物多様性の具体的な取り組みを通して、TNFD※1が掲げるネイチャーポジティブの実現に貢献し、経営理念の基に事業活動を行っており、生物多様性とかかわりがある石灰石鉱山において、希少動植物の保全、採掘区域・跡地の緑化活動を進めています。
 2023年度からは環境省が創設した「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加し、OECM※2データベース登録を目指します。
 30by30とは、2030年までに陸域・海域の30%以上を健全な生態系として保全しようとする目標のことです。2021年G7サミットにおいて、各国での達成を約束しています。

30by30アライアンスへの参加

※1 Taskforce on Nature-related Financial Disclosures の略称。自然関連財務情報開示タスクフォースのこと。

※2 Other Effective area-based Conservation Measures の略称。民間などの取り組みにより保全が図られている地域や、保全を目的としない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している地域。

生物多様性保全活動

 当社グループが保有する石灰石鉱山では、特に環境影響評価において保全の必要があると判断された希少種については、保護設備の設置や移植、開発作業の制限などの対策を講じています。
 秩父太平洋セメント社は、希少植物の保護に精力的に取り組んでいます。群馬県多野郡神流町に位置する叶山鉱山では、地元の自然保護団体の協力を得ながら、同鉱山に自生する38種類の希少植物を鉱山内に設置した植物園内に移植しています。埼玉県秩父市と横瀬町に位置する武甲山で採掘している同社の三輪鉱山においては、自生する68種類の希少植物を地元の専門家などの協力や、当社中央研究所のバイオ技術などを活かし、保護や増殖を行っています。
 また、三重太平洋鉱業社(旧イシザキ社)の藤原鉱山では、2012年から藤原岳周辺の石灰岩地域に生息する三重県指定希少野生動植物種のカナマルマイマイについて、専門家の意見・協力を得ながら移植や事後調査などの保全活動を行っています。

イワキンバイ(叶山鉱山)

イワキンバイ(叶山鉱山)

オオビランジ(叶山鉱山)

オオビランジ(叶山鉱山)

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