ホームサステナビリティ社会との取り組み労働安全衛生

労働安全衛生



サプライチェーンを含めた労働災害の撲滅と安全な職場環境を目指し、安全保安衛生活動をグループで組織的に展開しています。

基本的な考え方

 当社は安全保安衛生方針を次の通り定めています。本方針の精神に則り、本社と事業所では年度ごとに職場の実態に即した安全保安衛生管理方針を作成しています。

太平洋セメント安全保安衛生方針

 当社は従業員の安全と保安および健康の確保が企業の存立の基盤をなすものと認識し、労働安全衛生法および鉱山保安法の精神に基づき労働災害および職業性疾病の発生を防止するために適切な経営資源を投入し、以下の基本方針を効果的に実施していくこととします。

基本方針
  1. 労働災害ゼロを目指し、労使協議及び参加の下に安全保安衛生活動を推進します。
  2. 安全保安衛生関係諸法令を遵守するとともに、当社で定めた安全保安衛生管理規程と事業所及びグループ関係会社で定めた安全保安衛生規定類に基づき、従業員と協力会社の安全保安衛生を確保します。
  3. 労働安全衛生マネジメントシステムの実施及び運用を積極的に推進し、作業と設備の本質安全化並びに教育訓練や啓蒙活動を継続的に実施するとともに労働安全衛生マネジメントシステムの継続的改善で安全保安衛生水準の向上に努めます。
  4. 全社と事業所及びグループ関係会社の安全保安衛生委員会を通して技術の進歩及び安全保安衛生の新しい知識情報に適応し、職場環境と作業方法を継続的に改善します。
  5. 全社と事業所及びグループ関係会社の安全保安衛生委員会のリーダーシップで労働災害撲滅活動を進め、太平洋グループ全体の安全保安衛生の確保を推進します。
安全に関する2022年度の目標(KPI)
KPI 今年度の実績・課題 次年度の計画

2022年度全社安全保安衛生委員会目標

  • グループ全体で死亡災害ゼロ(CSR目標2025)
  • グループ全体で休業災害を30件以下
  • グループ全体の労働災害総件数を80件以下
  • 当社在籍従業員の休業率 0.5%台

 

  • 死亡災害 2件
  • 休業災害 49件
  • 労働災害総件数 120件
  • 休業率 0.935%

2023年度全社安全保安衛生委員会目標

  • グループ全体で死亡災害ゼロ(CSR目標2025)
  • グループ全体で休業災害を30件以下
  • グループ全体の労働災害総件数を80件以下
  • 当社在籍従業員の休業率 0.5%台

※新型コロナウイルス罹患による休業率除く

職場で定めたルール違反災害の撲滅

労働災害件数に占める割合 15%以下
(ルール違反比率)

安全7原則違反等 26%

  • “動いている機械に手をだす”災害が9件と徹底度が不足。作業優先で違反する事例が散見される。

ルール違反比率 15%以下

  • 定期的なルール教育の実施による理解力向上
  • ルール違反状態にある設備・行動を抽出し改善
  • 定期パトロールを通じた違反状態解消に向けた指導
  • 経験の浅い(3年未満)従業員、作業員の災害防止強化

熱中症災害の撲滅

熱中症災害ゼロ

熱中症災害件数 7件

  • 個人差で発症するリスクの低減を図る。

熱中症災害ゼロ

  • 事前教育の実施による災害への理解向上
  • 暑さ指数に応じた確実な対応
  • 作業環境の改善(休憩場所の整備、冷却装置の整備 等)
  • 安全パトロールを通じた対策状況の確認指導
  • 個人差で発症するリスク低減のため、ウェアラブルデバイスの活用拡大

類似・再発災害の防止

災害原因ワースト3災害の半減

  • 「はさまれ・巻き込まれ」災害
  • 「墜落・転落」災害
  • 「飛来・落下」災害

前年比+11件(55件)

  • 災害現場に安全ポイント等の表示をするなどの工夫で注意喚起や相互注意を推進する。

災害原因ワースト5災害の半減

※「転倒」、「高温・低温の物との接触」を追加。

  • 災害検討支援による対策の有効性確認
  • 災害情報DBを活用した事例教育の実施
  • 災害防止対策の継続運用チェック(定期現場パトロール)
  • 標識、作業手順等の「見える化」の推進

安全保安衛生体制

 安全保安衛生方針のもと、快適な作業環境を形成し、当社グループの事業所などにおける従業員ならびに協力会社従業員の安全と健康を確保することを目的とし、当社グループの安全保安衛生管理についての基本的な事項を安全保安衛生管理規程に定め、安全保安衛生の推進に努めています。
 取締役会直属であるサステナビリティ経営委員会の傘下にある各専門委員会のひとつとして設置した「全社安全保安衛生委員会」では、安全を所管する設備部担当役員が委員長となり、各事業所の推進活動を統括しています。さらに、全社安全保安衛生委員会では当社に限らず、グループ会社の安全に対してもデータの収集ならびに指導を行っています。
 また、本社の各所管部における工場・鉱業所・支店の各事業所およびグループ会社では、労使双方で構成する安全保安衛生に関する委員会および協力会を組織し、事業所別に活動を推進しています。
 国内のセメント工場・鉱業所の安全保安衛生管理はOSHMSにより展開されています。

※OSHMS(Occupational Safety and Health Management System):1999年に厚生労働省が示した指針。連続的かつ継続的な安全衛生管理を自主的に行うことにより、事業所の労働災害の潜在的な危険性の低減、および快適職場を促進させる仕組み。


安全保安衛生体制図
安全保安衛生体制図

安全作業責任者認定制度

 労働災害の削減には、リーダーの能力アップが必要と考え、安全作業責任者を作業グループリーダーの要件とする「安全作業責任者認定制度」を2007年度より運用しています。2015年度からは工場での認定講習の受講資格を労働安全衛生法に規定する「職長教育」の修了者に引き上げて、さらなるレベルアップを図って運用しています。


安全衛生教育

 業務を安全に遂行できるよう、安全衛生教育実施要領を定め安全衛生教育に努めています。教育は各事業所において、新入従業員教育および転入者教育、特別教育、新任監督者教育、能力向上教育ならびに協力会社に対する入構教育の区分で実施しています。


労働災害報告とデータベースの運用

 労働災害が発生した場合は重篤・軽微にかかわらず、直ちに委員会に報告が上げられます。類似災害を防止するため、災害速報を全社掲示板に掲示し周知しています。
 2008年度からは当社とグループ会社、臨時を含むすべての協力会社の労働災害を4M(人、設備、作業方法、管理)の分類に沿って不安全行動・状態の原因を分析し、対策内容を記した労働災害検討書を整理したデータベースを運用しています。また、英語版、中国語版に翻訳し、広く海外事業所でも活用できるようにしています。


労働災害情報データベースへの労働災害登録件数
労働災害情報データベースへの労働災害登録件数

※当社および当社安全保安衛生管理規程において労災報告対象事業所とされているグループ会社を集計対象とする。

安全保安衛生推進活動の実績

 全社安全保安衛生委員会では、2022年度の目標を死亡災害ゼロ、休業災害30件以下、労働災害総件数80件以下、従業員休業率0.5%台と設定し、(1)「CSR目標2025」達成に向けたグループ会社の安全管理レベル向上、(2)ルール違反災害の撲滅、(3)熱中症災害の撲滅、(4)類似・再発災害の防止、(5)安全保安衛生関連法令の遵守、(6)新型コロナウイルス感染症予防(従業員の感染防止・感染拡散防止)、に重点をおいて安全保安衛生推進活動に取り組みました。
 結果は、労働災害が死亡災害2件を含む120件、休業率が新型コロナウイルス感染症拡大により0.935%となり目標を達成することができませんでした。各事業所が今まで以上に働く人々の意見を吸い上げて、すべての人が安全保安衛生に関してベクトルをあわせ活動することが必要となっています。

死亡災害 2(2)件
休業災害 49(36)件
労働災害総件数 120(103)件
休業率 0.935(0.604)%

※()内は2021年度実績


休業率の実績 (単体)

(単位:%)

  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
休業率 0.647 0.580 0.337 0.604 0.935

労働災害件数の実績

(単位:件)

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
地域別 国内 81 92 117 98 115
海外 6 2 4 5 5
男女別 男性 83 89 120 100 112
女性 4 5 1 3 8
業務上傷害・疾病別 傷害 83 79 103 97 113
疾病 4 15 18 6 7
従業員・協力会社別 従業員 45 40 52 40 51
協力会社 42 54 69 63 69

 2020年度から重点課題に挙げ取り組みを強化した熱中症災害の撲滅においては、各作業場のWBGT値(暑さ指数)測定とWBGT値に対する休憩頻度の設定、作業環境ならびに作業管理の改善を推進し、発症者数が7件(2021年度 : 6件)となりました。暑さ耐性は個人差があるため発症するリスクを下げるためにウェアラブルデバイスの活用を進めています。また、職場で定めたルール違反による災害においては、労働災害総件数の26%といまだに多く、定期パトロールによる指導、ルール教育、設備・行動の改善や災害発生場所への災害教訓の表示など安全活動の「見える化」を進めています。
 労働災害を経験年数で分析すると「経験3年未満」の災害が約40%を占めているため、経験年数の浅い人の災害防止への取り組みを強化します。
 また、災害の型別分析では、依然として「はさまれ・巻き込まれ」災害が多く、「転倒」災害が増加傾向にあります。作業と設備の両面から安全対策の本質を見直すことで類似災害の発生と再発の防止を進めていきます。


災害の型別の内訳
災害の型別の内訳

※当社および当社安全保安衛生管理規程において労災報告対象事業所とされているグループ会社を集計対象とする。



ISO45001への取り組み

 2018年3月に国際標準化機構によるOSHMSのISO45001規格が制定されました。当社は2007年より厚生労働省が示した指針に基づきOSHMSを運用していますが、国際的な企業として品質(ISO9001)、環境(ISO14001)に加え、安全衛生のISO45001規格の認証を上磯工場ならびに大分工場で取得しました。



災害防止に向けた取り組み事例

(1)再発防止対策(死亡災害を受けて)

 2023年3月に海外グループ会社のセメント出荷場で、運送会社の作業員が他社の車両にひかれ亡くなる災害が発生しました。直接原因は歩行禁止エリアを歩行したことですが、人と車両の動線分離の見える化が不十分であったことも間接的な要因です。すべての事業所で人と車両の動線分離の徹底(作業エリア・歩行エリアを定め、標識・ペイントなどで見える化する)ならびに指差呼称の実践を推進しています。

運転手への注意喚起掲示 (タイヘイヨウセメントフィリピンズ社)

運転手への注意喚起掲示 (タイヘイヨウセメントフィリピンズ社)


(2)安全体感教育

 一人ひとりの安全に対する感性を高めるため、身近な作業における危険を体験させる安全体感教育を推進しています。2018年度から各セメント工場に安全帯体感、回転物への巻き込まれ、感電、重量物玉掛け、VR(バーチャルリアリティー)装置などの危険体感設備を導入し、若手従業員など経験の浅い人にも効果的に教育ができる体制を整えています。
 各工場では、危険体感設備の増設や現場設備を利用した安全体感教育や危険体感設備教育とVR教育を併用するなど工夫を凝らし安全に対する感性の向上に努めています。

点検口が閉まり指をはさむ疑似体験 (大船渡工場)

点検口が閉まり指をはさむ疑似体験 (大船渡工場)

VRを用いた安全体感教育(埼玉工場)

VRを用いた安全体感教育(埼玉工場)


(3)グループ会社への安全活動支援

 全社安全保安衛生委員会は、グループ会社の安全活動支援を行っています。2018年度から開始し、グループの国内と海外の事業所に対し安全調査を実施しています。2022年度は国内4事業所、海外1事業所で安全調査を実施しました。また、熊谷工場でグループ会社4社の安全担当者と安全活動の意見交換ならびに危険体感設備を使っての教育を実施しました。
 今後もグループ会社の安全管理レベルの向上に努めていきます。

安全活動支援(ギソンセメント社)

安全活動支援(ギソンセメント社)


(4)作業の本質安全化(実用新案権の取得)

 各工場では働く人々の意見を反映した作業と設備の本質安全化に取り組んでいます。
 大分工場では、ベルトコンベヤのリターンローラー戻り粉片づけ作業の本質安全化に取り組み、ベルトコンベヤを停止することなく、安全に作業ができる「自動調芯リターンローラー用安全カバー」を開発し、2022年2月には実用新案を取得しました。

自動調芯リターンローラ用安全カバー 登録番号:登実03235767(2022年2月3日)

自動調芯リターンローラ用安全カバー
登録番号:登実03235767(2022年2月3日)


(5)外国人作業者の安全確保

 外国人作業者は年々増加し多国籍化しています。セメント工場では、教育資料の図表示や多言語表示を進め、DVD利用など、工夫して安全確保に努めています。

安全第一をベトナム語、インドネシア語に訳し場内へ掲示(大船渡工場)

安全第一をベトナム語、インドネシア語に訳し場内へ掲示(大船渡工場)


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