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平成12年3月27日

太平洋セメントがゼロエミッション事業部を新設


 太平洋セメント株式会社は、これまで産業廃棄物と一般廃棄物に分けて取り組んでいた環境事業関連部門を統合し、4月1日より新たに「ゼロエミッション事業部」を発足させ、一層の事業体勢強化を図ります。
 1994年に国連大学が提唱したゼロエミッションの考え方は、わが国においても最終処分場不足の危機的状況などを背景に急速に広がりました。その結果埼玉県など多くの自治体が資源循環型の社会システムを構築すべく積極的取り組みを開始しています。また、国もエコタウンの指定などを通じて、こうした自治体の取り組みを強力に支援しています。
 当社はこのような国連大学の構想に当初から参画し、廃棄物が一切発生しないというセメント製造プロセスの特性や、廃棄物処理に適したさまざまな要素技術を駆使して、資源循環型社会の構築に貢献することを目指してきました。その結果、今や研究所で取り組んでいる研究開発テーマの半数以上は環境関連のものとなっています。また、工場では火力発電所から発生する大量の石炭灰をはじめ、22業界190社にも及ぶ他産業からのさまざまな廃棄物・副産物を受け入れるなど、産業クラスターの要としての役割を果たすに至りました。
 さらに、千葉県や東京都は都市ごみ焼却灰の埋め立て処分に替えて「エコセメント」化の採用を決めました。また、国もばいじんの処理方法として新たに「焼成」を加えるなど、これまでの産業廃棄物の処理に加えて一般廃棄物の処理においても、セメント工場は廃棄物の再資源化にますます大きな期待をかけられるようになりました。
 こうした状況は、セメント産業が建設基礎資材の供給というこれまでの役割に加えて、資源循環型社会の実現に貢献するという新しい役割を社会から付与されたことに他なりません。セメント工場は大量の廃棄物を再資源化するという大きな社会的存在意義を新たに認められることとなりました。今やセメント産業は「環境貢献型産業」に変身を遂げたのです。
 またこのことは当社が新たな事業収益の拡大と、更なる工場コストダウンの可能性を見いだしたということでもあります。21世紀に向けて当社は、基幹となるセメント事業の業態を、ゼロエミッションを軸に大きく変化させて行く計画です。

 今後推進していく具体的な事業分野としては次のようなものがあげられます。

1).都市ごみのリサイクル
 生ごみ状態から、焼却後の灰の処理に至るまで、さまざまな状態の都市ごみについて処理技術の開発に取り組んでいます。特に都市ごみ焼却灰の処理については、世界初の「エコセメント工場」が千葉県市原市で建設中なのをはじめ、普通セメント原料化についても既に実用段階に入っています。
2) 汚泥のリサイクル
 さまざまな産業から発生する汚泥の処理、セメント原料化を行っています。また特に下水汚泥については、臨海型セメント工場と各地のサービスステーションを結ぶ海上物流ネットワークを活用した広域処理事業に着手するのをはじめ、下水処理施設の個別の実情に応じた最適な汚泥処理方法を提案し事業を展開しています。
3).廃プラスチックのリサイクル
 株式会社平和との共同開発技術により、年間40万台の廃パチンコ台をRDF化しています。また塩ビ以外の廃プラ燃料化については、13年度に8万トン以上の処理ができるよう設備能力を増強するとともに、微粉炭代替や乾留ガス化技術の開発にも取り組んでいます。
4).建設廃棄物のリサイクル
 今後予定されている「建設リサイクル法」の制定をにらみ、現在年間2万トン行っている廃石膏ボード処理事業の拡大に加え、木屑の処理についても事業化の予定です。
5).産業クラスターの構築
 電力、鉄鋼、製紙などさまざまな業界との連携を一層強化し、全国13箇所の当社グループセメント工場との間で全国規模のゼロエミッションネットワーク構築に向け具体的検討を進めています。
6).地球環境問題への対応
 東京都との共同開発技術を利用し、秩父工場でセメントキルンによるフロン破壊事業を行っています。また窒素酸化物の分解機能を有する「光触媒セメント」はこれまで1万平米近い施工実績をあげており、今後交通量の多い道路の環境対策工事に広く採用されることが期待されます。
 今回の組織改定により当社はこうした社会の構造変化に敏速に対応できる体勢を整えます。ゼロエミッション事業部はさまざまなニーズに機動的に対応するためグループ制をとり、当面本・支店合計で約100名の体制でスタートします。全国に広がる太平洋セメントグループのネットワークを生かし、現状約300億円の環境事業の売上を3年後には500億円に拡大する計画です。


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