ホームニュースリリース2001年国内初、次世代の新素材「ダクタル」を用いた橋梁建設技術を開発

ニュースリリース


平成13年11月6日

大成建設株式会社
太平洋セメント株式会社
前田製管株式会社

国内初、次世代の新素材「ダクタル」を用いた橋梁建設技術を開発


 大成建設(株)(社長・葉山莞児)、太平洋セメント(株)(社長・木村道夫)、前田製管(株)(社長・前田直己)の3社は、強度・靭性に優れた次世代の新素材「ダクタル」を適用した橋梁の設計・施工技術を開発し、国内で初めてのプレストレスコンクリート橋の建設に着手します。
 コンクリート系新素材「ダクタル」は、フランスのブイーグ社、ラファージュ社、ローディア社により開発された材料です。「ダクタル」は特殊な繊維で補強されたコンクリートで、鉄筋による補強を一切必要としないばかりか、締め固めも必要としない自己充填コンクリートです。ダクタルの圧縮強度は200N/mm2で通常コンクリートの約5?10倍、曲げ強度は45 N/mm2で通常コンクリートの約10?15倍であり、驚異的な強度特性を保有しています。更に、ダクタルはひび割れに対しても繊維が引張りに抵抗するために脆性的に壊れない、いわゆる靭性の高い材料です。ダクタルの透水係数は従来のコンクリートに比べ約1/100と低いため、高緻密で高い耐久性を示します。このように、ダクタルは従来のコンクリートとはあらゆる面で、オーダーが異なる次世代の材料と言えます。日本においては、太平洋セメント(株)がプレミックス・ダクタルの製造・販売の独占実施権を保有し、またVSL-Japan(株)(社長・村瀬和雄)がダクタルを使用したプレストレス構造物技術の独占実施権を保有しています。

 大成建設(株)と太平洋セメント(株)は、ダクタルの建設技術への適用のため施工方法や設計手法について共同研究を進めてきました。施工については、ダクタルのミキシングの方法、型枠への打設方法、そして養生方法など合理的施工方法を開発しました。設計については、プレストレスを導入したダクタル構造物に対して曲げ・せん断載荷実験と構造解析評価を行い、ダクタル特有の設計手法を確立しました。さらにVSL-Japan(株)を加えて、フランス・ブイーグ社から設計・施工に関するノウハウを技術導入することで、ダクタル橋梁の新しい設計・施工技術として完成させました。開発された技術のメリットを以下に示します。

鉄筋補強が不要であるため薄肉断面の部材を容易に施工することができ、またプレストレス導入力を大幅に高めることができるので、橋梁上部工の自重を従来のPC橋梁に比べ1/2?1/4に軽減することが可能です。
そのために、地震時の橋梁慣性力が大幅に減少でき、橋梁基礎が縮小されるため、上下部工の建設費用で10%程度のコストダウンが可能です。
耐久性に優れた材料であるため、維持管理費用の削減が可能です。
桁のせん断補強は、特殊な繊維で行われているために、地震などの予期しない外力に対する従来の構造物の脆性的な壊れ方に対して、ダクタルの桁は非常に粘り強さを発揮します。
ダクタルを熱養生した後は、クリープ変形や乾燥収縮がないので、プレキャスト部材としての扱いが容易であり、ジョイント後の変形や収縮クラックの管理が不要です。

 3社では、ダクタルを用いた国内第一号の橋梁建設として山形県・酒田市に、スパン50m、有効幅員2.2m、外ケーブル工法によるプレストレス構造の歩道橋建設に着手します。このプロジェクトを進めるに当たり、大成建設(株)は設計と施工全般を担当し、太平洋セメント(株)は材料の製造・品質管理、前田製管(株)はプレキャスト部材の製作・架設を担当します。また、山形県が主催する「庄内地域産学官連携推進会議」内に新たに設置された「新素材による橋梁建設技術委員会」(委員長:横浜国立大学 池田尚治教授)に設計・施工方法についての技術的な評価を受けながら進める予定です。
 今後は、耐久性やクリープなどの構造特性の観点からモニタリングを継続する予定であり、ライフサイクルコストの観点からも優れていることを検証します。また、ダクタルの設計手法を一般的な設計ルールとして水平展開を図るとともに、その特性を活かした道路橋をはじめ大深度シールドトンネルなど土木・建築構造物への用途拡大を推進する予定です。

完成予想図についてはこちらをご覧ください。


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