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研究開発事例


セメント・コンクリート

耐久的なコンクリート構造物に適するセメント
〜強度制型セメント〜

1. 高強度セメントは良いセメント?

   
セメントはコンクリートの材料 ⇒ コンクリートの性質に対応した性能が必要。
 
例1  汎用強度のコンクリートを高強度セメントで製造
⇒ 高水セメント比で所定の強度達成(セメント量減少→コンクリート価格は低下)
⇒ コンクリート中の粉体が減少 = 材料分離大+ワーカブルでないコンクリート
⇒ 施工欠陥の増加 = コンクリート構造物の耐久性の低下
例2 

高強度コンクリートには高強度セメント(または低熱セメント)が適する。

 

2. ISO規格整合化:汎用セメントの欧州規格EN197-1:2000(ISO規格案)

   
欧州  セメントを3つの強度クラスに分類(28日圧縮強度が32.5、42.5、52.5MPa以上)。
高強度セメントは、高強度コンクリートのみに使用。
汎用コンクリートには、32.5クラスのセメントを使用(セメント使用量の過半数)。
日本  強度クラスの概念なし。
国内の普通ポルトランドセメントは52.5クラス。低強度クラスのセメントなし。
 

ISO規格は、セメントの多様化への道を開く。性能照査型の設計の自由度が増え、コンクリート構造物の寿命設計技術の活用が可能となる。

 

3. 強度制御型セメントの提案

 

⑴ コンセプト

◎ 粉体量確保による材料分離抵抗性改善:施工欠陥の除去、および鉄筋とコンクリートの密着度増加による発錆抑制

◎ 初期強度発現性の確保:物質移動の遮蔽に重要なコンクリート表面部分の緻密さ確保 ⇒脱型後の表面部分の強度増進の不確実さ考慮

◎ 産業副産物活用:高炉スラグやフライアッシュ混合

 

⑵ 強度制御型セメントの候補

◎ 石灰石-高炉スラグ-三成分系セメント

◎ フライアッシュセメント

◎ フライアッシュ-高炉スラグ-三成分系セメント

◎ 粗粒セメント+微粒粉体(石灰石フィラーやフライアッシュなど)

 

4. 参考文献

 

1. 山田一夫、富田六郎、耐久的なコンクリート構造物に適するセメントの開発、コンクリート工学、Vol.41、No.2、pp.10-17、2003

2. 羽原俊祐、山田一夫、もう一度、セメントを見つめ直してみよう。-21世紀に必要とされる汎用セメントの姿-、コンクリートテクノ、Vol.20、No.9、pp.70-78、2001

3. 羽原俊祐、山田一夫、混合セメントに対する時代の流れ-21世紀の日本の汎用セメントの姿-、電力土木、No.298、pp.3-10、2002

 

研究・技術開発
太平洋セメント中央研究所

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