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研究(セメント・コンクリート)
超高性能セメント系素材「ダクタル」の開発、用途、品質管理
佐藤 正己 中央研究所 技術企画部 複合構造材料T

Profile
佐藤 正己 中央研究所 技術企画部 複合構造材料T
【職務経歴】
1999年 佐倉研究所 セメントコンクリート技術センター(熊谷)
1999年 佐倉研究所 セメントコンクリート技術センター(香春)
2001年 中央研究所 第1研究部 第8グループ
2008年 研究開発部 ダクタル技術開発チーム
現    中央研究所 技術企画部 複合構造材料チーム
【趣味】
ゴルフ、スポーツ観戦、音楽鑑賞、映画鑑賞
【入社する前の専門・研究テーマ】
「転炉スラグのコンクリート混和材への利用に関する研究」
ある1日を見る

MY JOB
勘と経験を頼りに、超高性能材料を開発する
超高強度繊維補強コンクリート「ダクタル」の開発に携わっています。特に構成素材の特性とダクタルの性能との関係の研究やこれらの研究をベースにした品質向上対応を行っています。通常のコンクリートはセメント、砂、砂利、水から成りますが、ダクタルはセメントをベースとして数種類の反応性微粉末や砂を細密充填組成となる様に組み合わせた材料です。従って、硬化後は組織が緻密となり通常のコンクリートに比べて圧縮強度が約8倍で、繊維の補強効果により曲げ強度が9倍という超高性能材料です。さらに、寒冷地では凍害に強く、海沿い地域では塩害を防ぐなど優れた耐久性を有しています。ダクタルは数種の材料を組み合わせていることから品質の安定化が難しいのが難点で、安定化のための研究に日々苦心しています。私の所属するダクタル開発グループでは、私が担当している品質向上研究の他にダクタル製品や用途開発、本格的なダクタル構造部材に用いてもらうための新たな設計手法や評価試験方法の開発等を行っています。また、官公庁や大学の研究機関との共同研究も積極的に行っています。職場では若い研究員が多く活気が満ち溢れています。研究所内での私の具体的な業務は実験計画とその評価ですが予想通りに行くことはまれで勘と経験も必要だと感じています。予想通り行かないことも多いですが逆に楽しいと感じています。



JOB STORY
自分達が開発した材料で架橋する現場に立ち会う
ダクタルは、若干価格が高いのですがほぼメンテナンスフリーの超高性能材料であることから徐々に官民で採用され始めてきています。平成14年に山形県酒田市で「酒田みらい橋」という日本発のダクタル歩道橋が完成しました。この時は大きな達成感と満足感を味わいました。

この橋は、ダクタルの高性能を活かして人が歩く部分を非常に薄く設計されており、厚さ5cmしかありません。つまり、橋自体がとても軽いのでこれを支える橋脚や基礎杭を軽減することができます。しかもメンテナンスフリーですので、コストは従来のコンクリートと同じくらいになります。この橋の実現にかかった年月は、設計に1年半、工場で実機と同サイズのものを造って試行錯誤するのに3カ月、その後約2カ月半でピースを製造し、1カ月半で架橋、というスケジュールでした。橋全体を8つのピースに分割し、工場で製造して現場で組み立てるため、通常より工事期間が短くて済むのもメリットです。

実際に施工現場を指揮したのは経験豊かな先輩方でしたが、私も機会があるごとに足を運びました。少人数で話し合いながら仕事を進める研究所と違って、何十人もの人がメカニカルに働いている現場では、立ち止まって考えている暇はありません。その分、成果をみんなで分かちあえるのが嬉しいものです。実際、自分が開発した素材の製造現場に立ち会い、現実の構造物になっていくのを見るのは、ドキドキするほど素敵な体験ですよ。自分が携わった建造物が何十年と存在し続ける訳ですから、非常に思い入れもありますし、いつまでも健全なままであって欲しいと願っています。





ENQUETE

■この仕事を選んだ理由
土木工学専攻ということから、設計コンサルタントへの就職も考えていました。その一方で、高校時代は化学部に在籍し、化学的な分野についても大変興味があったため、研究室は土木材料研究室に所属しながら、無機化学の教授の下でコンクリート材料に関する研究を行いました。化学と土木、その経験を生かしたいと考え、セメントメーカーへの就職を決めました。

■この仕事の面白さとは?
成熟したセメント・コンクリート業界の中で、これまでの概念にとらわれない最先端材料の開発に携われること。ゼネコンや設計コンサルタントでも材料開発を行うことはできますが、セメント系材料の開発にダクタルのような材料レベルから新しいモノを生み出し実用化するのは材料メーカーの強みであると思います。研究対象として、いわば特殊な材料を扱えるのが、この仕事の面白さです。

■必要な資質やスキルは?

自分達でコンクリートを練りますから、線の細いデスクワークというより現場に近い、意外とパワーが要る仕事です。自分も含めて同僚のほとんどは土木、建築系出身なので、そういった資質を持った人の方が向いているのかもしれません。
■合っている人はどんなタイプ?
研究開発は、スムーズに進み良い結果が得られることは非常に稀です。一見無駄と思える実験試験から結果を導き出す、努力とめげないことが必要ではないでしょうか。また、企業の研究者は、共同開発者とのチームワークにより打開できることがあります。協調性も必要です。

■入社前と後ではイメージのギャップはある?

メーカーの研究所は、いわゆるホワイトカラー的な職場だと想像していましたが、セメント・コンクリート開発部署は学生時代の研究室と大きな違いはありませんでした。会社に関しては歴史も古く伝統を感じるのは入社前と同じですが、研究所では、合併した旧3社のノウハウを基盤に、常に最先端を走る業界の頭脳として大きな役割を果たしている点は新鮮でした。

■就職活動中の学生のみなさんへ
最初に面接を受けた会社では、緊張のあまり言葉に詰まってしまい、ほとんど何も言えませんでした。これをきっかけに、2社目からは開き直って言いたいことを言おうと決めました。当社を受けた時は、分からない事は正直に「分からない」と答え、自分の得意分野については自信を持って答えることが出来ました。勿論事前の準備は必要ですが、本番では詰まってしまうよりは、何でもはっきりと答えることが大事ではないでしょうか。