CHARACTERISTIC

パワーハウスの特徴1

特殊多孔質構造

硝化と水中での食物連鎖

有害な窒素化合物を比較的安全な硝酸イオンへと分解(硝化)する硝化細菌(バクテリア)。それを捕食して生息する原生動物。その原生動物もまた、魚の餌となります。こうした水中での生態系(食物連鎖)がバランスよく保たれてこそ、活きた飼育水が作り出されるのです。パワーハウス独自の構造は、水中の微生物たちの住処となり、水質維持とバランスの保たれた食物連鎖を生み出します。

微生物たちの共存・棲息の場であるパワーハウスの表面模型
[チップ1枚=約2ミクロン ・バクテリア=約1ミクロン ・原生動物=約10ミクロン]

水槽内では、魚たちの排泄物や残餌・枯葉などによって有毒なアンモニアが発生し、水質を悪化させます。
このアンモニアを食べてくれるのが「アンモニア酸化細菌」というバクテリアです。しかし一方で、彼らは亜硝酸イオンという有害な物質を出します。この亜硝酸イオンは「亜硝酸酸化細菌」というバクテリアに食べられ、比較的無害な硝酸イオンという物質に変えられます。こうした微生物たちによる水の浄化を「硝化作用」、バクテリアたちを「硝化細菌」と呼んでいます。
自然界では、これらバクテリアを食べる原生動物たちがいて、原生動物は魚などに食べられるという食物連鎖が行われ、自然淘汰されています。
広大な自然界では、この食物連鎖がバランスよく行われ、常に微生物たちの数が程よく保たれ、水質浄化が行われています。
しかし、アクアリウムは人工のものであり、スケールもはるかに小さく、アクアリウムの水質維持の鍵となる「ろ過材」で、バランスのいい食物連鎖による安定した微生物生態系を構築するのは極めて難しく、長期にわたって水質を維持することは、これまで不可能に近かったのです。

パワーハウスの表面に触れるとザラザラとした感触があります。これは、パワーハウスが0.1ミクロンという超微細な空隙から、1,000ミクロンの空孔まで、連続的にバランスよくマトリックス設計された特殊な構造を持っているからです。
この特殊構造は表面のみでなく、ろ過材内部も同様で、パワーハウスはこの空隙にバクテリア、空孔に原生動物を定着させることによってろ過材全体に食物連鎖のバランスを保った微生物生態系を創りだしています。いわば、パワーハウスの一つ一つが微生物生態系を構成しているといえます。
結果として、パワーハウスは長期に水質を維持することが可能となり、多くのプロやマニアに「とにかく長持ちする、つぶれにくい」という評価を受け、愛用されています。

微生物ワールドを形成する特殊多孔質構造

パワーハウスは、その内部にまで、さまざまなサイズや形状の孔があいている特殊多孔質構造です。そのため硝化細菌(1ミクロン程度)やそれを捕獲する原生動物(数十~数百ミクロン)まで、バランスよく生息でき、長期にわたり安定したろ過能力を発揮します。

パワーハウス・ハードタイプ(左)とセラミックリング(右)の構造比較=電顕写真20倍

パワーハウスの1リットル当たりの空隙

左は「パワーハウス・ハードタイプとサンゴ砂」、右は「パワーハウスソフトタイプと大磯砂」の1リットル当たりの空隙をサイズ別に比較したグラフ。パワーハウスは硝化細菌の生息に適した1ミクロン前後の空隙が多く、特にSサイズが圧倒的に多いことがわかる。

不定形ラッシヒリング形状

パワーハウスは、いわゆるリング形状(Sサイズはコラム形状)をしていますが、よく見ると、表面が微細な起伏構造をしています。このため、フィルター内では水の流れを細かく分散し、ろ過材の隅々まで飼育水を運びます。
硝化細菌は好気性細菌の一種で、常に新鮮な水と酸素を必要としており、フィルター内に止水領域ができると、その働きは全く期待できなくなります。
パワーハウスは、たとえ大型の外部フィルターに使用しても、この止水領域を作らず、常に硝化細菌をはじめ各種微生物を活性化させます。
また、パワーハウスはフィルター内で目づまりしにくく、ポンプへの負担もかかりません。

溶存酸素の量と各種細菌数

図で硝化細菌[アンモニア酸化細菌(ニトロソモナス)・亜硝酸酸化細菌(ニトロバクター)]は、酸素量が少ないと極端に細菌数が減少しているのが分かります。
硝化細菌の活性化を図るには、ろ過材へのスムーズな酸素供給が必要で、そのためには、ろ過財がセットされたフィルター全体に、新鮮な水が行き渡ることが必要です。
パワーハウスは、フィルターの隅々まで水流を分散し、極めて高い酸素供給能力がありますので、硝化細菌を活性化し、硝化反応を促進します。

フィルター内のパワーハウス

パワーハウスは、フィルター内でさまざまな方向を向き、ラッシヒリング形状の特徴で高い水流拡散性能を発揮し、硝化細菌への酸素供給を容易にします。

ろ過装置内での水流拡散試験

セラミック(ボール形状)

目詰まりしにくいパワーハウスの形状

目詰まりは水の流れを悪くし、嫌気性バクテリアの発生を促します。パワーハウスの形状(図)は、高い水流拡散性があると同時に、目詰まりしにくい形状ですので、十分に酸素が供給できます。