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/ セメコン図鑑
セメントは、石灰石を主原料とする灰色の粉体です。石灰石は、輸入に頼らず日本国内でまかなうことができる自給自足の鉱物資源です。セメントに水・砂・砂利を混ぜたものがコンクリートで、セメントは水と混ぜると固まる性質があるため、砂や砂利などを結びつける接着剤の役割を果たしています。
では、セメントはどのようにつくられるのでしょうか。ここからは、その基本のレシピを見ていきます。
- 石灰石
- 粘土
- けい石
- 鉄原料
- せっこう など
1|材料を細かく砕いて、混ぜる
石灰石、粘土、けい石、鉄原料などを細かく砕き、必要な成分になるよう配合します。
2|プレヒータ-で原料を予熱する
配合した原料は「プレヒーター」と呼ばれる予熱装置で約800~900℃まで加熱します。予熱にはロータリーキルンから出る高温の排ガスを無駄なく有効活用しています。
3|ロータリーキルンで焼く
プレヒーターを経て予熱された原料は、巨大な回転窯「ロータリーキルン」で最高約1,450℃の高温で焼成されます。その後一気に冷やすことで、中間製品となる「クリンカ」をつくります。
4|せっこうを加えて、細かく粉末状に仕上げる
クリンカに、固まる早さを調整する「せっこう」などを加えて細かく粉砕。こうして、灰色の粉末であるセメントが完成します。
この工程で重要な役割を果たしているのがロータリーキルンです。ロータリーキルンとは、原料を焼成するための数十メートルもの回転窯のこと。原料はロータリーキルンの中をゆっくりと移動しながら徐々に温度を上げ、最高約1,450℃で焼かれます。この高温によって原料はマグマのように溶けながら混ざり合い、成分同士が化学反応を起こしていきます。その後これをクーラーで一気に冷やすと、クリンカへと変化します。
セメントの元となるクリンカは、主に「酸化カルシウム(CaO)」「二酸化ケイ素(SiO₂)」「酸化アルミニウム(Al₂O₃)」「酸化鉄(Fe₂O₃)」という4つの成分からつくられています。
これらの成分をそろえるために使われるのが、石灰石、粘土、けい石、鉄原料など。原料を焼成すると、成分同士が化学反応を起こし、エーライト(3CaO⋅SiO₂)、ビーライト(2CaO⋅SiO₂)、アルミネート相(3CaO⋅Al₂O₃)、フェライト相(4CaO⋅Al₂O₃⋅Fe₂O₃)という、クリンカを構成する4つの主要な化合物へと変化していきます。
1,450℃の高温で焼成して原子レベルまで分解・反応した結果、天然原料と同様の成分を取り出すことができれば、原料は廃棄物でも代替可能です。太平洋セメントでは、都市ごみ焼却灰や下水汚泥などの廃棄物をセメントの原料として受け入れ、高温で焼成することで無害化し、セメントを製造しています。こうした取り組みは、天然資源の消費抑制や、最終処分場の延命につながり、循環型社会の実現にも大きく貢献しています。
ここまで紹介したのは、セメントの基本的なつくり方です。これを基本に、原料に廃棄物や副産物を多く使用したり、仕上げの段階で別の材料を加えたりすることで、同じ灰色の粉に見えてもそれぞれ異なる特徴を持つセメントが生まれます。さまざまなセメントが、用途に合わせて得意分野を生かしながら私たちの暮らしを支えています。
一般に「セメント」というと、このセメントをさすほど広く使われている、基本のセメントです。強度や固まる速さなどのバランスがよく、建築・土木の幅広い分野で活躍しています。
普通ポルトランドセメントに、細かく砕いた「高炉スラグ」の微粉末を組み合わせたもの。高炉スラグとは、鉄をつくるときに生まれる副産物です。長い期間をかけて強度が伸び、塩害(海水・潮風)に強いことが特徴で、土木工事に多く使用され、港湾施設をはじめとする大型工事にも使われています。
普通ポルトランドセメントに「フライアッシュ」を組み合わせたセメントです。フライアッシュとは、石炭を燃やした際に生じる、非常に細かな灰を指します。フライアッシュを利用すると、コンクリートの流動性を高め、固まる際に発生する熱も抑えることができます。また、使用するうちに強度が増す性質から、ダムなどの大量のコンクリートを使う大型構造物に用いられています。
エコセメントの特筆すべき点は、都市ごみの焼却灰や下水汚泥などを主原料としていることです。エコセメント1トンをつくるのに、半分となる500キログラム以上の廃棄物・副産物が使われています。セメントづくりに必要な成分は、石や土だけでなく、廃棄物や副産物にも含まれており、それらを原料として活用することで、資源循環にも貢献しています。