当期及び次期の業績の概況

1.当期の業績の概況

 はじめに、当社の合併につきましてご報告申し上げます。
 当社は、平成10年10月1日に秩父小野田株式会社と日本セメント株式会社とが対等の立場で合併し、本店を東京都千代田区西神田三丁目8番1号に定め、「太平洋セメント株式会社」として新発足いたしました。

 次に、当期の営業の概況をご報告申し上げます。

 当期のわが国経済は、個人消費が依然として低迷するとともに、民間設備投資が落ち込んだため、政府による景気・金融対策にもかかわらず、2年連続のマイナス成長となりました。
 また、海外では米国経済が堅調に推移したものの、アジア経済が引き続き低迷しました。

 このような中、セメント及びマテリアル事業につきましては、国内では政府による経済対策が打ち出されたものの、官公需が伸び悩むとともに、民間設備投資が冷え込み、一方、海外ではセメントの主要輸出先であったアジア経済の不振が続き、非常に厳しい事業環境となりました。また、アジアでは、欧州系セメント資本による企業買収や資本参入が相次ぎました。
 環境・リサイクル資源事業の事業環境につきましては、地球環境に対する意識の高まりに伴い、資源循環型社会構築への取組みが一段と進展し、民間企業や自治体から廃棄物の再資源化要請がさらに強まりました。
 このような状況の下、当期の総売上高は3,089億6千5百万円となり、経常利益は21億7千8百万円となりました。
 また、当期利益は15億2千万円となりました。

 部門別の概況は次のとおりであります。

〈セメント事業部門〉
 セメントの国内総需要は7,071万屯と前年同期を約7.6%下回り、2年連続の大幅な減少となりました。このうち、輸入品は64万屯と9年振りに増加しました。また、セメントの総輸出数量は755万屯と前年同期を約32.6%下回りました。一方、国内のセメント市況は大幅な需要の減少から低調に推移しました。
 このような情勢の下、当社のセメント事業部門の販売数量は、受託販売分を含め2,643万屯となりました。このうち、国内は2,360万屯、輸出は283万屯となりました。
 また、国内においてセメント価格の適正化に取り組んでまいりましたが、期待した効果を得ることができませんでした。一方、輸出価格も大幅な下落となりました。
 以上の結果、セメント事業部門の売上高は2,112億8千万円となりました。

〈マテリアル事業部門〉
 マテリアル事業部門につきましては、資源事業では骨材や鉱産品が不振だったほか、建設資材事業でも耐火被覆材料・工事や人工軽量骨材が不調だったため売上高は526億5千4百万円となりました。

〈環境・リサイクル資源事業部門〉
 環境・リサイクル資源事業部門につきましては、石膏販売等が低調に推移しましたが、自治体から排出される浄水発生土及び下水汚泥の処理が順調に拡大しました。この結果、売上高は218億5千2百万円となりました。

〈不動産事業部門〉
 不動産事業部門につきましては、昨年10月に完成した千葉市の幕張ビルを商業施設として賃貸に供したことなどにより売上高は150億3千6百万円となりました。

〈海外事業〉
 海外事業につきましては、米国西海岸のセメント、骨材、生コンクリート事業が好調を維持し、中国大連市、南京市、秦皇島市の各合弁セメント工場も順調に稼動しております。また、ベトナムの合弁セメント工場建設も予定どおり進めております。

2.次期の業績の概況

 今後のわが国経済は、政府による経済対策等の景気下支え効果が期待されるものの、民間設備投資の低迷が続くことが予想され、また、個人消費の先行きについても不透明なことから、景気の自律的回復には時間を要するものと思われます。
 当業界を取り巻く事業環境につきましても、需要が引き続き低調に推移すると予想されることから、大変厳しい状況が続くものと思われます。
 このような状況の下、当社といたしましては、合併効果をあらゆる部門で迅速かつ最大限に発揮するとともに、厳しい環境に耐え得る強固な経営基盤を確立するため、平成11年度からの3年間を対象とする「太平洋01中期経営計画」を策定いたしました。今後はこの計画に基づき、緊急課題である収益力の改善に全力を尽くすとともに、財務構造の改善を進めてまいります。また、当社の関係会社につきましても、戦略的に再構築を進め、グループ全体の総合力を最大限に発揮できるよう、強力な企業集団の構築に向けて鋭意取り組んでまいります。
 なお、部門別の展開は次のとおりであります。
 セメント事業につきましては、生産、物流、販売体制の最適化を進め、コスト削減に全力で取り組んでまいります。また、現状のセメント価格は大変厳しい水準であることから、引き続きユーザーの皆様のご理解を得て適正価格の実現に努力してまいります。
 一方、セメント輸出につきましても、アジア地域のみならず、アフリカ、中東、南米地域への輸出展開を図ります。
 マテリアル事業につきましては、豊富な鉱山資源をはじめセメント事業で培ってまいりました経営資源を有効かつ複合的に活用するとともに、新商品、新技術の開発を進め、事業の拡大と収益の向上を目指してまいります。中でも、関西国際空港第2期事業向け埋立用土砂供給プロジェクト等の大型案件につきましては、計画どおり推進してまいります。
 環境・リサイクル資源事業につきましては、廃棄物の適正処理、再資源化に対する取組みを強化し、事業の拡大を図るとともに、ゼロエミッション社会の構築に貢献できるよう努力してまいります。特に、都市ごみ焼却灰や下水汚泥を原料とするエコセメント事業につきましては、市原市における工場建設を予定どおり実施してまいります。
 不動産事業につきましては、社有地の効率的な活用を更に進め、安定収益の確保に努めてまいります。
 海外事業につきましては、米国及び中国での事業を発展させるとともに、ベトナムでのセメント合弁事業を予定どおり進めてまいります。また、流通、販売拠点の整備を含め、長期的視野に立った積極的な事業展開を図ってまいります。
 更に、糸魚川市及び高知市における発電事業につきましては、安定収益事業として計画どおり進めるとともに、他の新規分野につきましても、事業性・採算性を十分考慮し、重点的に経営資源を投入して当社収益に貢献できる事業の育成・強化を図ってまいります。
 なお、コンピュータ西暦2000年問題につきましては、重要課題と認識し、社内に設置しております2000年問題対策委員会を中心に取り組んでまいります。
 次期の業績については、売上高3,930億円、経常利益110億円、当期純損失210億円を予定しております。
 

配当政策

 当社は、長期にわたる経営基盤の強化、とりわけ財務体質の改善を経営の優先課題とすると共に、将来にわたり安定的な配当を継続していく考えでおります。
 当期の配当金につきましては、上記基本方針に沿い、1株当たり5円50銭(うち中間配当2円50銭)を予定しております。
 また、会社の競争力を維持し、業績の向上を図るためのタイムリーな投資の源泉として、内部留保も不可欠なものであると考えます。
 今後、安定配当の維持と内部留保の充実に努め、より一層の経営基盤の強化を図る所存であります。
 


決算短信 当期及び次期の概況、配当政策 「コンピュータ西暦2000年問題」への対応状況
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