ホームニュースリリース2002年掘削残土を削減した高耐震既製コンクリート杭工法の開発

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平成14年7月3日

掘削残土を削減した
高耐震既製コンクリート杭工法の開発

太平洋セメント株式会社
日本ヒューム株式会社
株式会社トーヨーアサノ
日本高圧コンクリート株式会社
大成建設株式会社


 セリファ研究会(会長・植松眞、会員:太平洋セメント株式会社、日本ヒューム株式会社、株式会社トーヨーアサノ、日本高圧コンクリート株式会社)と大成建設株式会社(社長・葉山莞児)は、既製コンクリート杭の埋込工法を対象として、施工時に発生する掘削残土を低減し、併せて、杭の耐震性能を高める工法を共同開発しました。
 構造物の基礎として採用する既製コンクリート杭の施工法は、振動・騒音の問題から打撃工法に替わって埋込工法が主流となっています。しかし、埋込工法では地盤を掘削した後、杭を埋込むため泥土化した土砂が多量に発生します。この土砂は通常の残土としての処理が難しいため、産業廃棄物扱いとなることが多く、その処理に高額な費用を要しています。
 一方、1995年の兵庫県南部地震では既製コンクリート杭にも被害が認められました。その最大の原因として、通常の杭に配置されているスパイラル鉄筋がせん断補強用として計算されたものではないため、せん断力に対して極めて脆いことが挙げられます。その対策として、せん断補強筋を入れたPRC杭やPHC耐震補強杭(通称:JIS強化杭)が開発されてきていますが、既製コンクリート杭は内部が中空のため、せん断補強筋の効果が十分発揮されません。現状ではコンクリートの肉厚を増すことにより補強筋の効果を高めようとしていますが、重量の増加、材料費の増加、および、中空断面の縮小による掘削残土の増加などの問題を抱えています。
 今回開発した杭工法は、上記の問題を解決するために考案されたもので、掘削時に発生する土砂にセメントなどの固化材を混合し、これを施工時に杭中空部に確実に充填することにより残土を削減するとともに、中空部に充填されたソイルセメントが固化することにより、せん断補強筋の効果を十分発揮させ、耐震性を高めることができます。その効果として、残土処理費を最大30%削減でき、地震時における杭の変形性能を約1.5倍以上高められることを構造実験によって確認しました。
 この技術は地球環境と耐震性に配慮した将来性の高い杭工法であり、今後、より詳細的な現場実験と構造実験を行なって実物件に適用する予定です。


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