持続的な成長と企業価値の向上を目指し、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。
コーポレートガバナンスの基本方針
グループ経営理念に基づき、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営責任を果たし、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資することを目的として、コーポレートガバナンス基本方針を策定し、健全性、透明性、効率性の高いコーポレートガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
コーポレートガバナンス体制
当社は持続可能なビジネスモデルをグローバルに展開するため、コーポレートガバナンスの課題や実効性、ガバナンステーマを的確に認識し、対応する体制づくりを進めています。
経営機構は取締役会と監査役会を基本としています。業務執行については、執行役員制度を導入し、経営の意思決定および監視・監督機能と業務執行の分離に努めています。監査役の業務については、その全般を補助する機関として監査役室を設置しています。また、監査部を設置して内部統制システムの整備、内部監査による当社および当社グループ会社の業務の適正の確保に努めています。
また、サステナビリティ推進のため、サステナビリティ経営委員会を設置しています。下部組織に、人権・労働、環境経営、品質管理などについて専門委員会を設け、コーポレートガバナンスの強化を図っています。
項目 | 人数等 |
組織体制 | 監査役会設置会社 |
取締役会議長 | 会長 |
取締役人数(うち女性人数) | 9名(1名) |
うち社外役員人数 | 3名(1名) |
うち独立役員人数 | 3名(1名) |
取締役の任期 | 1年 |
執行役員制度 | あり |
監査役人数(うち女性人数) | 4名(1名) |
うち社外役員人数 | 2名(1名) |
うち独立役員人数 | 2名(1名) |
委員会 | 開催回数 | 社外役員出席状況 | 概要 |
取締役会 | 15 | 100% | 取締役会は原則として毎月1回、そのほか必要に応じて開催し、法令で定められた事項および経営にかかわる重要事項の意思決定を行っています。 取締役は9名で構成されており、うち3名が社外取締役です。また、取締役会にはすべての監査役が出席します。2023年度の開催回数は15回、取締役・監査役の出席率は100%でした。 |
監査役会 | 11 | 100% | 監査役会は常勤監査役2名、社外監査役2名で構成されており、取締役会等の重要会議への出席ならびに取締役等からの職務の執行状況の聴取および重要な決裁書類の閲覧等により、経営に対する監視・監査機能を果たしています。さらに、監査の充実を図るため、支店、工場およびグループ会社等に赴くなどして、業務執行状況について調査しています。また、定期的に監査役連絡会を開催して各監査役間(必要な場合は関連部門担当者を交えて)にて意見交換を行い、公正かつ適正な監査が実施できる体制を構築すべく情報の共有化を図っています。 |
経営会議 | 15 | ─ | 経営会議は会長をのぞくすべての社内取締役および役付執行役員で構成されており、取締役会で意思決定される以外の重要事項について決定しています。経営会議には常勤監査役が出席します。なお、社外取締役および社外監査役は出席しませんが、社外取締役に対しては経営企画部から定期的(原則週1回)な報告を行い、また、社外監査役に対しては定期的(原則週1回)に連絡会を開催し、常勤監査役が経営会議等の重要な会議の内容を報告するなど、情報を共有し職務執行に対する補佐を行っています。 |
ガバナンスの変遷
取締役および監査役の状況一覧
取締役候補者の選任
コーポレートガバナンス基本方針に則り、社長が社内・社外の多様な人材の中から取締役候補者を取締役会に提案し、取締役会が審議のうえ、取締役候補者として指名し、株主総会の決議をもって選任しています。取締役候補の指名を行うにあたり、指名報酬諮問委員会は審議を行い、取締役会に審議結果を答申しています。
監査役候補者の選任
監査役候補者は取締役の職務全般に対する監査を公正に行うことができ、適切な経験・能力に加え、財務・会計・法務に十分な知識を有する多様な人材の中から社長があらかじめ監査役会の同意を得たうえで、取締役会に提案し取締役会がこれを審議し、指名した監査役候補者を株主総会の決議をもって選任しています。
社外役員候補者の選任
社外役員候補者はさらに当社が定める「社外役員の独立性判断基準」を満たし、社外の独立した立場から当社の取締役および経営の監督を行うとともに、弁護士、企業経営者、公認会計士、国家公務員などといった経験と見識に基づき、的確・適切に助言を行うことができる人材を指名しています。
社外取締役の活動状況
指名報酬諮問委員会は社外取締役3名および社内取締役1名からなる委員によって、2023年度は計4回開催されました。また、社外監査役を含む計5名の社外役員のみで開催される会議は2回開催され、現状の課題や取締役会の審議内容について、忌憚のない意見交換を行いました。
取締役会の運営状況
2023年度は取締役会を15回開催し、法令・定款が定める重要事項について審議・決定するとともに、取締役の職務執行を監督しています。取締役の職務効率性を確保するため、職務分担を受けた取締役および執行役員が職務執行状況の報告を行っています。経営執行については、執行役員に一定の業務権限を委譲し、中期経営計画および年度経営方針(社長方針)に沿って方針展開システムにより業務を執行し、取締役会はその進捗状況をレビューしています。
セメント販売価格政策 | 販売価格改定内容・状況の報告 |
工場・鉱山設備強靭化 | 製造設備の更新・石灰石鉱山開発 |
カーボンニュートラル | 取り組み事項の進捗状況確認 |
その他 |
・サステナビリティ経営の推進
・コーポレートガバナンス・コード対応(取締役会全体の実効性評価)
・フィリピンルソン島でのセメントターミナル建設
・次期中期経営計画策定方針
・減価償却方法の変更
・機関投資家および株主等との対話状況
・ダイバーシティ・マネジメントの推進
・健康経営の推進
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氏名 | 取締役会 |
不死原 正文 | 15/15(100%) |
北林 勇一 | 15/15(100%) |
安藤 國弘 | 15/15(100%) |
大橋 徹也 | 15/15(100%) |
朝倉 秀明 | 15/15(100%) |
田浦 良文 | 11/11(100%) |
小泉 淑子 | 15/15(100%) |
江守 新八郎 | 15/15(100%) |
振角 秀行 | 15/15(100%) |
服原 克英 | 15/15(100%) |
苅野 雅博 | 15/15(100%) |
三谷 和歌子 | 15/15(100%) |
青木 俊人 | 11/11(100%) |
在任期間中の取締役会開催回数:15回、ただし田浦良文氏は取締役に就任以降の開催回数(11回)、青木俊人氏は監査役に就任以降の開催回数(11回)
スキル・マトリクス
当社は事業活動について適切な意思決定と高い監督機能を発揮するため、役員に期待される知識、専門性や経験を、マテリアリティの更新にあわせて見直しています。今年度は企業経営・生産技術研究・営業販売・財務会計・法務リスクマネジメント・グローバルビジネスの6項目のスキル・マトリクスで表しました。
持続的な成長とサステナビリティを根幹とした経営理念の実現に向け、このような高度な知識や専門性、また多様な経験を最大限に活かし経営にあたっています。
氏名 | 役職 | 社外役員 | 在任年数 | 指名報酬 諮問委員会 |
知識・専門性・経験 | |||||
企業経営 | 生産技術研究 | 営業販売 | 財務会計 | 法務リスク マネジメント |
グローバル ビジネス |
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不死原 正文 | 取締役会長 | 9年 | ○ | ● | ● | ● | ● | ● | ||
田浦 良文 | 代表取締役社長 | 1年 | ● | ● | ● | ● | ||||
朝倉 秀明 | 代表取締役副社長 | 2年 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
日髙 幸史郎 | 取締役専務執行役員 | ─ | ● | ● | ● | |||||
深見 慎二 | 取締役専務執行役員 | ─ | ● | ● | ● | ● | ||||
松井 功 | 取締役専務執行役員 | ─ | ● | ● | ● | ● | ||||
小泉 淑子 | 取締役 | ○ | 9年 | ○ (委員長) |
● | ● | ||||
振角 秀行 | 取締役 | ○ | 3年 | ○ | ● | ● | ● | |||
堤 晋吾 | 取締役 | ○ | ─ | ○ | ● | ● | ● | ● | ||
服原 克英 | 常勤監査役 | 3年 | ● | ● | ● | ● | ● | |||
苅野 雅博 | 常勤監査役 | 2年 | ● | ● | ● | |||||
三谷 和歌子 | 監査役 | ○ | 6年 | ● | ● | |||||
青木 俊人 | 監査役 | ○ | 1年 | ● | ● |
取締役会の実効性評価
当社では取締役会が業務執行の監督や適切な意思決定を行うため、社内外の役員間の情報共有に努めています。社外取締役に対して適時、適切な情報提供、海外や関係会社を含めた事業所視察機会の提供などを通じて、取締役会の実効性を高める努力をしています。さらに、全取締役・全監査役に対しアンケートを実施し、取締役会の構成、運営状況、議題、審議の状況など、取締役会全体の実効性に関する分析・評価を行っています。その内容を取締役会において確認し、その結果を基に、取締役会の構成、運営について改善しており、当社の取締役会全体の実効性を確保しています。
2023年度の課題 |
・中期経営計画に関する議論の充実
・英文開示の一層の充実
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2023年度の 取組み状況 |
・中計に関する議論の充実については、議論の時間の確保や内容の充実など、改善が進んでいる
・原則として英文同時開示を実施
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2024年度の課題 |
・議案上程基準の見直し
・海外投資家向けを含めたIR活動の一層の充実
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委員会の活動状況
指名報酬諮問委員会の活動内容
当社は取締役・役付執行役員の指名および報酬の決定に関する手続きの公平性・透明性・客観性を強化し、コーポレートガバナンスのさらなる充実を図ることを目的として2021年3月に指名報酬諮問委員会を設置しました。本委員会は取締役会の決議によって選定された4名の取締役で構成されており、うち3名は社外取締役となっています。また、委員長は取締役会の決議で選定された社外取締役が務めています。
本委員会は、取締役の指名に関する方針、取締役等の選解任、取締役の個人別の報酬等の決定方針ならびに取締役等の報酬の内容について審議し、取締役会に答申しています。
取締役の選任にあたっては、性別、国籍、職歴および年齢等を問わず、幅広い多様な人材の中から社長が提案した取締役候補者について、本委員会にて審議しています。社内取締役候補者については、当社の経営を的確・公正に行うことができる知識および経験を有し、かつ、優れた人格、見識および能力とともに高い倫理観を有する者であるか審議し、取締役会に答申しています。また、社外取締役候補者については、社外の独立した立場から当社の取締役および経営の監督を行うとともに、その豊富な経験と幅広い見識に基づき的確・適切な助言を行うことができる者であるか審議し、取締役会に答申しています。各委員は、候補者の履歴資料に不足があれば追加で請求したり、また適格性が不十分であるような場合にはその旨答申することもあり得る等、実質的な議論を尽くす心構えで臨んでいます。
サステナビリティ経営の推進体制
サステナビリティ経営を推進するため、社長を委員長として取締役会直属で全取締役および全役付執行委員をメンバーとした、部門横断的に構成される「サステナビリティ経営委員会」を設置しています。個別課題により具体的に取り組むため、サステナビリティ経営委員会の傘下に7つの専門委員会を設けています。各専門委員会は担当役員が委員長を務め、課題に対し最も関連の強い部署が事務局となっています。サステナビリティ経営委員会は、サステナビリティに関する重要事項の審議と専門委員会活動実施状況のレビューなどを行っています。
開催時期 | 主な内容 |
第1回 2023年5月11日 |
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第2回 2023年9月26日 |
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第3回 2023年12月19日 |
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第4回 2024年3月26日 |
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社外取締役の活動実績(出席回数/開催回数)
氏名 | 取締役会出席状況 | 発言状況 |
小泉 淑子 | 15/15 | 主に弁護士としての豊富な経験と企業法務における幅広い見識から適宜発言しています。 |
江守 新八郎 | 15/15 | 主に事業法人の経営者としての豊富な経験と幅広い見識から適宜発言しています。 |
振角 秀行 | 15/15 | 主に国家公務員としての豊富な経験と幅広い見識から適宜発言しています。 |
政策保有株式
取引先との営業上の安定的・長期的な取引関係の維持・強化の観点より、当社の中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合、当該取引先の株式を政策保有株式として取得・保有しています。
また、取締役会において、個別の政策保有株式について保有目的が適切か、保有にともなう便益やリスクが資本コストに見合っているかの観点をふまえ、中長期的な経済合理性や将来の見通しなどを検証のうえ、毎年その保有の必要性を確認しています。
なお、純投資目的である投資株式については、保有しておりません。
銘柄数(銘柄) | 貸借対照表計上額の 合計額(百万円) |
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非上場株式 | 180 | 5,806 |
非上場株式以外の株式 | 29 | 21,127 |
役員報酬
役員報酬の決定プロセス
取締役の報酬決定にあたっては、過半数が社外取締役によって構成され、社外取締役を委員長とする指名報酬諮問委員会による審議・取締役会への答申を経て、取締役会において同委員会の答申結果を尊重し、株主総会の決議および当社規程による相当額の範囲内で代表取締役の合議へ一任する旨を決議しています。
当社取締役(社外取締役をのぞく)の報酬体系は固定報酬と業績連動報酬、株式報酬で構成され、社外取締役は固定報酬のみで構成されています。また、監査役の報酬体系も固定報酬のみとなっています。
- 固定報酬は役位に応じて設定されます。
- 業績連動報酬の額は、当該事業年度の親会社株主に帰属する当期純利益に1%を乗じた額(上限400百万円)に役位別係数を乗じて得た額としています。
- 株式報酬は役位に応じて毎年譲渡制限付株式を交付します。原則として、取締役退任日が譲渡制限解除日となります。
- 株式報酬制度の導入、ならびに業績連動報酬の指標として親会社株主に帰属する当期純利益を採用した理由は、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的とするものです。
報酬の構成
※ 固定報酬:おおむね90%から45%
株式報酬:おおむね10%から15%
業績連動報酬:0%からおおむね40%
役員の年間報酬
株主総会における取締役報酬の決議日は2021年6月29日、当該株主総会後における取締役数は9名(うち社外取締役3名)で年額12億円(うち社外取締役1億円)以内、また当該報酬枠の枠内で、取締役(社外取締役をのぞく)に対し譲渡制限付株式報酬として年額2億円(20万株)以内となっています。
株主総会における監査役報酬の決議日は2000年6月29日、当該株主総会後における監査役数は4名、月額1,300万円以内となっています。
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる 役員の員数(名) |
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固定報酬 | 業績連動報酬 | 非金銭報酬等 | |||
取締役 | 393 | 310 | 38 | 44 | 10 |
監査役 | 72 | 72 | ─ | ─ | 5 |
(うち社外役員) | (67) | (67) | (─) | (─) | (6) |
※ 上記の取締役および監査役の支給人数には、2023年6月29日開催の第25回定時株主総会の終結の時をもって退任した取締役1名および監査役1名を含んでいます。
内部統制システム
当社および当社グループ各社の業務の適正、効率的な運営を確保する体制について「内部統制システム構築の基本方針」に則り、現在運用している制度などの充実、強化、また必要な事項については見直し、再検討することを基本としています。内部監査については、担当役員の指示のもと、監査役と連携して当社取締役の承認を得た内部監査計画を立案しています。2023年度は当社5事業所、国内グループ会社11社、海外グループ会社1社の監査を実施しました。監査にあたっては、当社グループにおける会社業務の有効性・効率性・規定の遵守状況を確認し、改善事項を明らかにしたうえで、助言や勧告をしています。また、会社法、金融商品取引法に対応し、財務報告に係る内部統制評価・開示制度に関する対応等を行っています。
また、グループ会社には必要に応じて事業部所管部署より監査役を派遣し、監査を実施しています。監査役を派遣していない会社に対しては、定期的に内部統制状況に関する自己診断を実施してもらっています。また、重要性の高い海外グループ会社の監査部門とは、オンラインによる会議を定期的に開催し、統制状況の確認を行っています。内部監査における指摘事項等はグループ会社の経営層が参集する会議で事例を紹介し、再発防止を図っています。