価値創造へ向けて
当社は「行動指針」において“事業環境の変化に即応し、柔軟に行動する”ことを宣言しています。リスクマネジメントは経営の不確実性を低減し、経営目標を達成するための基盤と考え、社会変革・地球環境変化・自然災害・事故・不祥事など、経営目標の達成を不確実とするリスクを「リスク管理基本方針」に基づき管理しています。またリスク管理基本方針を具体的なリスク管理活動に展開するように「リスク管理規程」を定めています。
リスク管理基本方針
リスク管理基本方針
- 当社は、製品・サービスの品質と安全性を確保し、従業員および家族の生活と安全を守り、ステークホルダーから一層の信頼を得るため、リスクの予防と低減に努める。
- 当社は、事業活動を取り巻く様々なリスクを適切に管理するための体制を整備する。
- 当社は、計画・実践・評価・是正のサイクルを通じてリスク管理を推進する。
- 当社は、リスクが顕在化した際に迅速かつ適切に対処する。
- 当社は、当社グループ各社と連携し、事業環境の変化に伴い新たに生じるリスクを機敏に感知し、太平洋セメントグループとして迅速かつ適切に対処するための体制を構築する。
- ステークホルダーとのリスクコミュニケーションを通じ、リスク管理に必要なステークホルダーの声を把握する。
- リスクの評価、対処の結果などのリスク情報を誠実に開示し、ステークホルダーと当社間の信頼関係を醸成する。
コンプライアンス基本方針
当社は「行動指針」において“法令遵守と社会の良識に則り行動する”ことを宣言し、コンプライアンスはサステナビリティ経営の基盤と考え、2005年3月「コンプライアンス基本方針」の公表とともに「コンプライアンス規程」を制定しました。当社の「コンプライアンス」の定義は、狭義の法令遵守に留まらず、法令の背景にある社会通念やグループ経営理念、当社行動指針、社内諸規程の遵守を含むものとなっています。
コンプライアンス基本方針(要旨)
- 経営理念、行動指針、社会規範の遵守
- 社内諸制度・諸規程の整備と周知徹底
- グループ各社の連携と教育・啓発活動推進
- 問題発生時の適切な対応と施策打ち出し
- 必要な情報の適時・適切な開示とコミュニケーション
- 国際基準・ルール遵守と現地文化・習慣尊重
- 反社会的勢力・団体の不正・不当な要求拒否
反贈賄への取り組み
「反贈賄に関するトップメッセージ」
太平洋セメントグループは、コンプライアンスをビジネスの根幹理念と位置付けております。
当社はかかる理念に基づき策定した「行動指針」において「法令遵守と社会の良識に則り行動する」ことを宣言し、2005年3月に「コンプライアンス基本方針」を公表いたしました。
これに加え、贈賄行為に対する規制強化という近時の国際的な潮流に照らし、腐敗防止の取組みを強化するため、2017年1月に「反贈賄基本方針(ポリシー)」を策定しました。
この「反贈賄基本方針(ポリシー)」をグループ内外に公表することで、反贈賄の徹底を宣言しています。
また、この方針に則り、2024年6月に「太平洋セメントグループ贈収賄防止基本規程」を制定しました。贈収賄防止関連法令を遵守するため、法令に違反する行為を未然に防止することを目的としています。
公的研究費の適正な運用・管理および研究活動における不正行為への対応
当社は、文部科学省が制定した「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」および「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に基づき、当社研究活動における公的研究費の適正な運用・管理および研究活動における不正行為への対応に関する規則を定め、当該規則に則り以下の体制を整備しています。
当社は、以下の責任体制のもと公的研究費の適正な運用・管理を行い、研究活動における不正行為を防止します。
責任者 | 太平洋セメントでの役職 |
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最高管理責任者 | 代表取締役社長 |
統括管理責任者 | 研究開発担当役員 |
公的研究コンプライアンス推進責任者 (研究倫理教育責任者) |
研究員等※の所属する事業所長 |
※ 競争的資金等の公的研究費の運用・管理に関わる全ての構成員
公的研究費の適正な運用・管理および研究活動における不正行為に関わる告発やご相談がありましたら、本社総務部までご連絡下さい。
税務コンプライアンス徹底への取り組み
「太平洋セメントグループ税務方針」
太平洋セメントグループは、税務に関するコーポレートガバナンスを一層充実させるため、2019年11月に「太平洋セメントグループ税務方針」を策定しました。
当社グループはこの税務方針に則り、税務コンプライアンスを徹底し、適正な納税を行います。
運用体制
リスク管理・コンプライアンス推進の最高責任者は社長です。社長より指名された統括責任者(総務部担当役員)が「リスク管理・コンプライアンス委員会」を主宰・運営し、組織的かつ計画的に活動を推進しています。
同委員会は、方針の展開、全社リスクの洗い出し・評価と特定、PDCAサイクルによるリスク管理活動ならびにコンプライアンスを推進する役割をはじめ、リスク管理・コンプライアンスに関する規程の制定や改定、従業員への啓発・教育推進など、当社グループ全体のリスク管理・コンプライアンス推進の中核を担っています。2023年度は4回の会議を開催しました。
※ 管理対象:(国内外)グループ会社94社(2024年3月末現在)
実現に向けてのロードマップ
コンプライアンスの徹底
企業は単に経済的側面のみならず、広く社会に対して有用な役割を積極的に果たすことが期待されています。当社およびグループ各社が社会からの信頼と期待に応え、継続的かつ安定的な発展を遂げていくために、「社会において守るべきルールを認識し、これに基づいて行動する」コンプライアンス経営を推進し、信頼される企業グループであり続けます。
リスクマネジメント
ひとたび重大なリスクが顕在化すれば、経営資源が損なわれるだけでなく、当社グループを取り巻くステークホルダーにも悪影響を及ぼし、信頼関係が崩壊して社会的な信用が失墜するなどきわめて深刻な事態となるおそれがあります。事業を継続し、持続的に発展するためにも、リスク管理体制を整備するとともに実効性あるリスク管理活動を推進し、重大なリスクの低減と顕在化したリスクによる損失の最小化を図ります。また、情報資産の適切な取扱い・保護・管理にも努めます。
KPI・目標 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
内部通報制度の(国内外)グループ会社 カバレッジ90%以上(2030年度) |
78.6% | 81.1% | 88.3% |
行動基準研修(e-ラーニング)受講率90%以上を維持 | 87.8% | 91.7% | 97.3% |
内部通報制度
「コンプライアンス・ホットライン」を設け、通常の社内手続きを経ない通報を直接受け付けています。通報は顕名に加え、心理的障壁を低減するよう匿名も可としています。また、通報受付窓口は社内(コンプライアンス・ホットライン)と、社外(法律事務所)にあり、通報の秘匿性を担保しています。グループ会社従業員もこれらの窓口の利用を可能とし、グループガバナンスの強化、制度の実効性向上と各社の負担軽減を図っています(海外グループ会社向け窓口は設置検討中)。また、この制度を利用したことを理由として通報者に不利益な取り扱いがなされないよう、「内部通報制度運用規程」に定めています。
受付窓口 | 件数 |
社内(コンプライアンス・ホットライン) | 4 |
社外(法律事務所) | 0 |
「通報」とすべきもの:「内部通報制度運用規程」による
※ 当社およびリスク管理・コンプライアンス委員会においてリスク管理対象としているグループ会社を集計対象とする
リスク管理・コンプライアンス推進活動
全社リスクの洗い出し・評価と特定
当社は3年に1度、グループ会社を含めた全社リスクの洗い出しと評価を特定するとともに、毎年その見直しを実施しています。2022年度に実施した全社リスクの見直しでは、過去3年間の環境の変化をふまえリスクの網羅的な棚卸を行い、顕在化の懸念が高まっているものおよび対策が不十分なものを「全社リスク」とし、リスク管理・コンプライアンス委員会の管理下で、効果的な対応策を推進することとしました。
●特定された「全社リスク」と事業機会、事業戦略
全社リスク | 事業機会 | 事業戦略 |
自然災害の激甚化と施設・設備老朽化リスク |
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サプライチェーンの経営変動リスク |
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人材関連リスク |
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海外におけるリスク対策活動事例
「暴動・テロ対応マニュアル」を作成し、定期的に改訂して活用しています。また、リスクが高い派遣国については、現地退避決定をするための要領を明文化し、現地情勢変化に応じて緊急退避レベルを評価するためのツールを作成するとともに、ツールを用いたトレーニングを実施しています。国外退避および緊急時に必要な備蓄品(食料品、衣類、衛生用品、医薬品)や現金などのリストアップと、その確保は各海外事業拠点において順次実施しています。
緊急事態対応
災害・事故・不祥事などの事象が発生した場合、事象発生場所から総務部長に情報伝達されます。総務部長は事象の重大性を考慮し、対応体制を緊急対策本部の設置・所管事業所主導のいずれにするかを判断し、選択された体制をもって緊急事態に対応します。
また、災害・事故への対応訓練として、各事業所で大規模地震を想定したシェイクアウト訓練を実施しています。
リスク管理・コンプライアンス推進研修
リスク管理・コンプライアンスの効果的な実施のため、当社各事業所ならびにグループ会社のリスク管理・コンプライアンス責任者および推進者を対象とした研修を実施しています。2023年度は、11月にグループ会社の責任者を対象として研修会を開催し(87社参加)、「なぜ多様性が組織を成長させるのか? ~ダイバーシティ経営と先進事例~」と「サステナビリティと企業経営」について外部講師より講演いただきました。推進者への研修会は、2月に「コンプライアンス講座~組織における不祥事防止」についてe-ラーニングにて開催しました。
コンプライアンス教育
行動基準に沿って具体的にどのように行動すればよいか、個々の事例を示した「行動基準[ケースブック]」を作成し、当社の全従業員および主要なグループ会社の全従業員に配布しています。「行動基準[ケースブック]」は最新情報を反映しながら定期的に改訂しています。
また、「行動基準[ケースブック]」などを題材にし、個々の状況でどのような行動を取るべきかをクイズ形式で学習するe-ラーニングを全従業員に向けて、毎月1回実施しています。2023年度の受講率は、97.3%でした。
情報セキュリティ
情報セキュリティ推進体制
当社では情報資産のセキュリティを確保し運用するため「情報セキュリティ基本方針」ならびに「情報セキュリティ管理規程」を制定し、これに基づく管理体制のもと、積極的に情報セキュリティ保持活動に取り組んでいます。
情報セキュリティの最高責任者は社長であり、社長から指名された統括責任者(経営企画部担当役員)が、組織的かつ計画的に情報セキュリティ活動を推進するため「情報セキュリティ委員会」を主宰・運営しています。
情報セキュリティ基本方針(要旨)
- 業務上生じる全ての情報を情報資産とする。
- 管理、監督下にある情報資産を脅威から保護するために適切なセキュリティ対策を講ずる。
- 取り扱う全ての情報資産について、それぞれの分類に適した管理者、管理方法、取り扱い基準等を規定し、セキュリティを保護する。
- 情報セキュリティに関する法令、その他の社会的規範を常に遵守し、個人情報は「個人情報保護方針」に準じて管理する。
- 全役員および従業員に情報セキュリティについての教育・啓蒙を継続的に実施し、情報セキュリティの周知徹底に努める。
- 万一情報資産にセキュリティ上の問題が発生した場合、原因を迅速に究明し、被害を最小限に止めるよう努める。
- 情報セキュリティの運用状況等を定期的に監査を実施し、情報セキュリティ確保への継続的な改善・向上に努める。
個人情報保護方針(要旨)
- 個人情報の取得、利用、提供、委託等を行う場合には厳正な管理のもとで適正に行い、保護に努める。また、利用目的の達成に必要な範囲を超えた取扱いを行わない。
- 法令およびその他の規範を遵守する。
- 不正アクセス、個人情報の紛失、破壊、改ざんおよび漏洩等の予防ならびに是正について適切な措置を講ずる。
- 個人情報の取扱いに関する苦情および相談に対しては、適切かつ迅速に対応する。
- 個人情報保護マネージメントシステムを制定し、適切な管理の維持に努める。
情報セキュリティ推進活動
2023年度は当社では、セキュリティインシデント発生時の体制等を整備したサイバーインシデント対応マニュアルを策定したほか、外部からのセキュリティ侵害による社内ネットワークの停止を想定した机上演習を実施しました。自然災害発生を想定した復旧訓練も継続して実施しています。
また、当社およびグループ会社を対象に不審メール対応訓練やセキュリティ調査を実施しました。このほか、ポータル上でセキュリティニュースを配信する等、グループ全体のセキュリティレベル向上に取り組んでいます。
さらに、グループ各社の情報システム担当者を対象とした交流会を開催し、当社からの情報発信や各社課題を共有する機会としています。
なお、2023年度は、重大なセキュリティ関連事故は発生していません。
知的財産に関するリスクマネジメント
他社が所有する知的財産権の侵害防止を目的に、定期的に関係業界の特許出願状況を監視しています。注意すべき他社の出願に対しては、当社が権利侵害していないことの確認や、必要に応じた審査状況の監視と対応策を検討するなど、先手を打ったリスクマネジメント活動により安全な事業環境の確保に努めています。
事業展開先の諸外国での知的財産リスクに対しては、外部機関や専門家とのネットワークを駆使して現地の最新情報を入手し、国内同等レベルの対応策を実施してリスクを回避しています。
このようなリスクマネジメント活動に加え、他社権利を尊重することの重要性について、グループ内啓発活動を推進しています。これまでに知的財産に関係するトラブルで事業に支障が生じたことはありません。