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耐久性予想システム


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従来の耐久性シミュレーションに比べ、様々な環境条件や劣化現象に対応し、
コンクリート構造物の配合や材料の種類にとらわれない、高い汎用性を有しています。

本シミュレーションは、熱力学的相平衡モデルを用いることで、初期条件として必要な相組成が、セメントの化学組成やセメント鉱物の反応率、コンクリートの配(調)合から算定されます。
すなわち、本シミュレーションでは、これまでのシミュレーションと異なり、適用可能な材料・配合の種類が限定されることなく、各種のポルトランドセメントやスラグ、フライアッシュを混合したセメントなどについて、様々な配合条件で使用するといった多様なケースについても、耐久性予測が可能となります。

これまでの塩害環境の耐久性予測では、環境条件として塩化物イオンのみを対象としていましたが、本シミュレーションでは、海水の組成をそのまま環境条件として入力することが可能です。これにより、塩化物イオンのみならず、海水中に含まれるナトリウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオンなどの影響も考慮した耐久性予測が可能となります。
さらに、本シミュレーションでは気相も計算の対象となっているため、大気中の二酸化炭素や湿度も含めた、任意の環境条件への対応が可能となります。

相平衡と物質移動モデルを組合せたことの効果として、本シミュレーションは多様な劣化現象に対応可能となりました。
本シミュレーションでは、相平衡モデルに、種々の化学種の移動を対象とした物質移動モデルを連成させた構成によりセメント硬化体中の気液固相の組成変化を計算していることから、耐久性予測の対象となる劣化現象は、塩害だけにとどまらず、中性化や硫酸塩劣化など様々な劣化に対応可能です。加えて、塩害と中性化が同時に作用する複合劣化の場合にも対応することができます。

複合劣化とは? 複数の劣化がコンクリートに同時に作用する現象が複合劣化です。一般に、個々の劣化が単独で作用する場合よりも深刻化するため、耐久性を予測する上で複合劣化に着目することはとても重要です。
中性化と
塩害の複合劣化
中性化と塩害がコンクリートに同時に作用すると、コンクリート内部のpHが低下し、それにより塩分の濃集が生じます。すなわち、塩害が単独で作用する場合よりも高濃度の塩分がコンクリート内部に生成され、pHの低下もあいまって、コンクリート内部に設置された鉄筋の腐食の危険性がより高まることになります。
中性化と
塩害の複合劣化による
塩分濃集のメカニズム
中性化と塩害の複合劣化によって生じる塩分濃集は、セメントの成分が塩分と反応して生成したフリーデル氏塩という水和物が、中性化によるpHの低下によって分解されることに起因しています。フリーデル氏塩の分解でコンクリート内部に放出された塩分は、コンクリート深部へと移動することで、塩分の濃集を生じさせます。


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