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サステナビリティ経営の推進


カーボンニュートラル戦略

GX推進部の新設の経緯

 政府のグリーン・トランスフォーメーション(GX)政策をふまえ、当社のカーボンニュートラル達成に向けた戦略の立案・推進および技術開発の一層の加速を目的に、2025年4月に「GX推進部」を新たに設置しました。2026年度から本格運用予定である国内排出量取引制度(GX-ETS)を見据え、セメント産業の成長につながる戦略立案や政府への働きかけを行うほか、革新的なCO2回収技術やCCUSに対応する基盤技術開発を行います。また、激甚災害対策として、当社グループの所有する技術および製品の普及に向けた活動を行います。

26中計における進捗状況
26中計における進捗状況

社会環境

  • カーボンニュートラル社会の実現に向けた技術革新・社会実装には多大な投資と変革政策連携の強化が必要となる。政府補助金等の支援策を最大活用するための働きかけを強化し、研究開発から社会実装までのプロセスを加速している
  • グリーン製品価値を最大化するため、セメント協会等と連携し、環境ラベルや環境貢献製品の普及と市場価値向上の推進をしている
  • 2026年度から本格導入されるGX-ETSは、削減努力を正当に評価する市場メカニズムである。業界団体や政府との連携・対話を通じて、GX-ETSにおけるリーディングカンパニーとしての役割を果たしている

リスク

  • 国内需要減少
  • 人口減少、人手不足
  • 脱炭素への対応

機会

  • 新技術の導入(C2SPキルンなど)
  • グリーン製品のニーズの高まりに対応した製品、規格標準化、普及による競争力向上
  • 業界団体や政府との連携・対話を通じたGX-ETSへの戦略的対応

強み

  • 独自のCO2分離・回収技術(C2SPキルン)でセメント製造での世界標準を目指す
  • 混合セメントに対する高い技術力と国内外における実績
  • グローバルな事業展開を活用した、カーボンニュートラル分野での技術展開に対する対応力

ガバナンス

 代表取締役副社長がカーボンニュートラルにかかわる活動全体を統括するとともに、社内横断的な組織として「カーボンニュートラル戦略委員会」を設置し、経営戦略と一体で脱炭素戦略の推進を図っている。同委員会のもと、当社では2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指すこと、またそのための2030年中間目標や技術開発ロードマップを示した「カーボンニュートラル戦略2050」も策定している。
 2025年4月には、2026年からのGX-ETSの本格運用を見据え、その戦略立案を行うとともに、脱炭素に向けた革新技術の開発をさらに加速すべく「GX推進部」を、またデイ・シイ社におけるC2SPキルン対応工事の円滑な実施に向けて「C2SPキルンプロジェクトチーム」を新設した。

2050年サプライチェーン全体でのCN実現を目指した取り組み
Topics

激甚災害対応技術と製品の普及に向けた取り組み

 気候変動にともなう自然災害の激甚化に備え、グループ会社が保有する商材や技術を「予防・減災」「復旧」「早期復興」の各段階に整理し紹介したPR用パンフレットを制作しました。本パンフレットを社外への技術紹介や、自治体、施工業者等への提案活動に活用し、当社グループ製品の普及を進めています。

災害廃棄物のセメント資源化(令和6年能登半島地震)
災害廃棄物のセメント資源化(令和6年能登半島地震)
超高強度繊維補強コンクリート(ダクタル)
超高強度繊維補強コンクリート(ダクタル)

【特集】C2SPキルン

DX戦略

 当社では、2025年4月に新たにDX推進部を発足させ、26中計の重点戦略のひとつであるデジタル・トランスフォーメーション(DX)に取り組んでいます。同年8月にはシステム関連会社であるパシフィックシステム社を完全子会社化することを発表しました。これにより、両社のシナジーを最大限に発揮させグループ全体のDX推進を図ります。
 これまでに、AIを活用した配船計画支援システムの開発により、業務効率化や情報共有の迅速化を実現するとともに、計画精度の向上や運航コストの削減にも成功しています。
 今後も最新技術と蓄積したデータを融合し、工場・オフィスの効率化や自動化を加速させながら、グループ全体の変革意識の醸成と全従業員が最新技術を使いこなせることを目指し、持続的な成長を実現します。

社会環境

  • 組織全体のデジタル対応力を高めるための制度設計と人材育成に重点を置いている
  • 2025年4月のDX推進部の設置と教育体制の整備により、全従業員が変革の担い手となる基盤を構築
  • DXを一部門の取り組みにとどめず、企業文化として根付かせる体制が整いつつある

リスク

  • 業務効率の低下:手作業や紙ベースの業務が減らないことから、生産性が向上せず、人的リソースの逼迫
  • 競争力の喪失:市場や顧客ニーズの変化に迅速に対応できず、他社に遅れ
  • 人材確保の困難:デジタル環境を求める若手人材の採用・定着が難しくなり、組織の持続性に影響
  • 技術伝承の断絶:ベテランのノウハウが失われ、若手への継承が困難

機会

  • セメント産業の構造的変革を促す契機であり、企業の競争力と社会的価値向上の両立を可能にする
  • データ駆動型の意思決定、顧客ニーズへの迅速な対応、そして多様な働き方の実現を通じて、持続可能な成長とレジリエンスの高い組織づくりを加速する

強み

  • 全社的なデジタルリテラシーの向上を基盤に、業務の最適化と顧客価値の創出を両立できる点にある
  • AIやデジタルツールの活用により、サプライチェーンの効率化、顧客との関係深化、人材の定着と活躍支援を実現し、企業全体の変革力を高めている
26中計の取り組みと進捗状況

生産プロセスイノベーション(スマートファクトリー)

戦略の概要 進捗状況
生産プロセスの進化のため、工場作業の省人化と生産性向上を目的としてスマートファクトリー化を推進。 熊谷工場をモデル工場として、自律型ドローンによる工場パトロールやAIによる設備管理システムの構築に取り組んでいる。上磯工場では生産ラインの運転をAIが支援するシステムを稼働し、3基あるキルンの自動化の目途が立ったことから、今後は大分工場への展開を検討。

業務効率の改革(スマートオフィス)

戦略の概要 進捗状況
デジタル技術を活用した業務プロセスのスリム化や管理機能の集中化による生産性向上、人的資本の効率的配置を進める。 資料の作成や議事録作成などに生成AIを活用しており、導入実証を通じて、業務活用への具体的な適用可能性を多角的に検証していく。また、営業DXによりデジタル技術を活用した業務効率化と顧客対応力の強化、デジタル技術(PRA、生成AI)の活用による業務効率化を推進。また、リモートワークの活用により、働く場所の制約を払い、業務のボーダーレス化も推進。

DX人材育成

戦略の概要 進捗状況
労働人口減少に備えた業務効率化と生産性向上を目指す。生成AI、業務自動化ツール、データ分析ツール等の活用が期待される人材として、26中計期間中に450名のDX人材を育成予定。 2024年度はデジタル活用高度人材を170名育成。

人的資本戦略

 当社は、人材を成長の原動力であり競争力の源泉である「資本」と位置づけ、一人ひとりが互いの個性や価値観を尊重しあって、その能力を最大限に発揮できる環境づくりを人的資本戦略の基本方針としています。
 26中計では当社グループの経営戦略に合致する人材像として「グローバル人材の育成」「ダイバーシティの推進」「マネジメント人材の育成」の3つを掲げており、その実現に向けて着実に各種施策を進めています。
 労働供給制約社会の到来に備えた管理業務効率化(スマートオフィス)を進めることで新しい働き方と働きがいを創造し、また、従業員の仕事と生活の調和の実現や能力発揮のサポートによって、人的資本価値の最大化に努めていきます。

社会環境

  • 労働環境の実情をふまえ、転勤のあり方や、従業員の勤務地の範囲によるコース別人事管理制度の見直しを含む、人事制度再構築の検討を開始する
  • 成長戦略上の急務であるグローバル人材の育成については、海外トレーニー制度の拡充等、積極的な対応を進めている
  • 人材の「採用と定着」のため新入従業員を含めて給与の引き上げを実施

リスク

  • 人材流出
  • 従業員の年代の偏り(中堅層の不足)

機会

  • グローバル化に向けた人材の育成
  • ダイバーシティ&インクルージョンの推進
  • マネジメント人材の育成
  • ウェルビーイングの充実(柔軟な働き方と健康経営)

強み

充実した教育体系

  • 多様なOJT/OFF-JT、e-ラーニング、各種研修プログラムにより、従業員のスキルアップ環境を整えている

従業員エンゲージメントスコア

  • 「会社の方針や事業戦略への納得感」「ワーク・ライフ・バランス」「給与への納得感」といった項目が、強みとして評価されている(2025年5月実施のサーベイによる)

柔軟な働き方に向けた支援制度

  • フレックスタイム、テレワーク、産休・育休フォロー面談などの制度・体制が整備され、従業員の働きやすい環境を実現している
26中計の取り組みと進捗状況

グローバル人材の育成

戦略の概要 進捗状況
海外トレーニー制度の拡充に加え、海外語学留学制度や海外インターン制度を運用し、海外グループ会社との交流も進める。 昨年度より対面による海外インターン制度の研修を再開し、マレーシアで実施。海外トレーニー制度ではフィリピン、タイ、ベトナムへの派遣を行ったほか、海外語学留学制度ではアメリカ・カナダへの留学を通じた外国語の学習支援を実施。

ダイバーシティの推進

戦略の概要 進捗状況
女性従業員のキャリア形成を支援。外国人採用やリファラル採用、アルムナイ採用などの多様な手法を活用した経験者採用、さらには障がい者雇用やシニア人材の一層の活用にも注力。 女性従業員比率は目標の10%を達成し、女性管理職比率も2026年度の目標値である3%を前倒しで達成。外国籍新入従業員も3名採用。障がい者雇用率は2.6%で法定雇用率を上回る水準ながら、2026年7月に法定雇用率が2.7%へ引き上げられるので、継続的に採用を進めていく。

マネジメント人材の育成

戦略の概要 進捗状況
幹部育成プログラムや女性対象の次世代リーダー育成研修を充実させ、リスキリングの推進を図る。 経営アカデミーや財務リーダーシッププログラムなど、幹部育成プログラムを実施。次世代リーダー育成研修においては、女性のロールモデルとの出会いにも期待し、社外研修を実施。
Topics

健康経営優良法人2025(大規模法人部門)

 当社は、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に、3年連続で認定されました。この認定は、当社が人的資本経営の一環として、年度ごとに策定する健康経営活動計画の成果を示しています。2024年度は、健康保険組合と協働してウォーキングイベントを実施しました。今後も関連組織と連携し、従業員とその家族の健康保持・増進に取り組み、全従業員が能力を最大限に発揮できる職場づくりを推進していきます。

健康経営優良法人2025(大規模法人部門)

トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム

 官民協働の海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」への支援が評価され、2025年3月6日に紺綬褒章を受章しました。このプログラムは、文部科学省と日本学生支援機構が連携し、日本の若者の海外留学を促進する取り組みです。当社は2015年から支援を開始し、2025年現在も継続しています。今後も社内外でグローバル人材育成に貢献していきます。

トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム
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