1コンクリートの収縮制御マニュアル
最近、コンクリート構造物の品質向上の観点から、乾燥収縮制御技術の高度化が一層強く求められるようになってきています。当社では、こういった状況にいち早く対応し、収縮制御対策に関連する材料技術を取りまとめた技術資料として「コンクリートの収縮制御マニュアル」を発刊しました。グループ商材を用いた広範な系統的実験データに加えて当社独自の収縮予測手法なども提示しており、ユーザーの皆様がコンクリートの乾燥収縮対応技術を検討される際のサポート資料としてご期待に添えるものとなっています。
系統的実験データに加え、広範に実施した当社独自の調査結果に基づく分析も行っています。
収縮制御対策として使用される当社グループ商材について、性能評価を行っています。
近年、収縮に及ぼす影響因子として注目されている骨材物性を調査するとともに、予測手法の提案を行っています。
2レディーミクストコンクリートの収縮変動調査
当社セメントユーザーである生コン工場の品質向上に取り組んでいます。近年、コンクリートの乾燥収縮量を把握するための試験がさかんに行われていますが、実際にプラントで製造されたレディーミクストコンクリートの収縮が、どの程度の変動をするかといった知見はほとんどありませんでした。年間を通した調査を行うことで収縮の実態を把握するとともに、変動要因を分析し信頼性の高いコンクリートを提供する体制構築に役立てています。
3収縮抑制コンクリート
乾燥収縮を低減したレディーミクストコンクリートがほしいというニーズに応えるため、生コン工場と共同で収縮抑制コンクリート(2008.9国土交通大臣認定取得)を開発しました。当社グループ商材である石灰石粗骨材、膨張材(ハイパーエクスパン)、収縮低減剤(テトラガード)を組み合せた技術であり、多くの実証実験を経て、通常の半分程度にまで収縮量を低減したコンクリートを安定して提供することが可能となりました。
日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説」に示される特級仕様に相当します。
長さ変化特性だけでなく、フレッシュ性状・圧縮強度特性についても、通年、安定した性能が得られることが確認されています。
4各種材料によるひび割れ低減効果の定量化
低発熱系セメント、膨張材、収縮低減剤など、材料面からのひび割れ対策方法が広く利用されています。それぞれの材料が発揮する効果は、実際の構造物におけるひび割れ状況から経験的には認知されています。一方で、用いる材料やその使用量を適切に選定し、合理的にひび割れ防止・低減を図るためには、材料の効果を定量的に示すことが必要となります。当社では、独自の実験や評価手法により、各種材料によるひび割れ低減効果の定量化に取り組んでいます。
膨張材や収縮低減剤など、各種材料のひび割れ低減効果を実験的に把握するとともに、その効果を定量的に評価します。