廃棄物の利用拡大による社会的な環境負荷低減を貨幣価値として評価しています。
基本的な考え方
当社では、外部からの廃棄物利用拡大にともなう社会的な環境負荷低減効果を貨幣価値に換算し、セメント資源化システムの取り組みによる「外部経済効果」として評価しています。2022年度は872億円の社会的効果をあげたと算定しています。2022年度は、前年度より天然原料および廃棄物・副産物の削減量が減少し、経済効果は対前年度比で約4%減少しました。
- 当社で他産業の廃棄物リサイクルを行わない場合に、社会全体が受ける環境影響を独自の方法で算定したものです。
- GCCAのCO2プロトコルで収集したデータなどから廃棄物・副産物を使用したことによる化石エネルギーや天然原料の使用削減量を計算しました。
- 削減量(環境保全効果)に、当社で設定した市場価格を乗じて経済効果に置き換えています。
それぞれのインベントリの市場設定価格は2000年度から据え置いていますが、設定の根拠は次の通りです。
CO2:炭素税3,000円/トン、原油:輸入価格、天然原料:購入価格(仮定)、廃棄物:管理型処分場の処理費用(首都圏) - この算定方法による外部経済効果のうち、一部は当社損益に反映されています。
■外部経済効果(2022年度)
インパクト | インベントリ | 削減量(t) | インベントリ 設定市場価格(円/t) |
外部経済効果 (億円) |
地球温暖化 | CO2 | 2,039,515 | 3,000 | 61 |
エネルギー資源枯渇 | 原油 | 115,754 | 18,400 | 21 |
鉱物資源枯渇 | 天然原料 | 4,545,574 | 1,000 | 45 |
最終処分場枯渇 | 廃棄物 | 4,966,493 | 15,000 | 745 |
合計 | 872 |
プロジェクト会計 ─ 大船渡工場5号キルン高効率クリンカクーラー導入
クリンカクーラーは、超高温のロータリーキルン内で焼成された中間製品であるクリンカを空気で冷却する装置です。冷却の際の熱交換で得られた高温空気は、ロータリーキルンの燃焼用空気として有効利用します。
2022年度に大船渡工場5号キルンに導入した高効率クリンカクーラーは、少ない空気量でクリンカを冷却しながら高温の回収空気を得ることが可能な新しいタイプのクーラーであり、従来型より熱回収効率が大幅に向上します。当社国内導入2例目となる高効率クリンカクーラーにより、クリンカ焼成に必要な熱エネルギー量の低減を図り、一層のCO2削減および環境負荷低減を目指しています。
大船渡工場 5号キルン
投資額:約9.2億円
CO2削減効果:7,149トン/年