地球温暖化防止
セメントは製造過程で相当量のCO2が排出され、そのうちエネルギー由来が4割、主原料である石灰石の脱炭酸由来するものが6割となります。そのためエネルギー由来のCO2は、クリーンエネルギーへ転換することにより排出をゼロとすることは可能ですが、原料から排出されるCO2は石灰石を使う限りゼロにはならないという大きな課題があります。
そこで当社は、2030中間目標を含む「カーボンニュートラル戦略2050」を掲げ、地球温暖化防止への貢献と持続的な成長のために、中長期的な視点に立ったCO2排出削減対策を推進しています。
「カーボンニュートラル戦略2050」に基づき、成長戦略としてカーボンニュートラル実現に取り組むためにプロジェクトチーム(現カーボンニュートラル技術開発部)を新設し、カーボンニュートラルに資する革新技術の開発と実用化に向けた開発を進めています。
さらに、カーボンニュートラル戦略委員会の下、社内横断組織として5つのワーキンググループ(WG)(2030WG、中長期WG、ファイナンスWG、CCSWG、CN工場WG)を立ち上げ、目標達成に向けた活動を推進しています。
2030年の中間目標である「2000年比サプライチェーン全体でCO2排出原単位20%以上の削減」「国内ではCO2排出量の40%以上の削減」を達成するために、省エネルギー化、化石エネルギー代替および混合材の利用拡大、低CO2セメントの開発と、革新技術であるCO2回収と利用に係る開発完了を掲げています。
輸送部門におけるCO2排出削減の取り組み
当社の原燃料および各種製品の輸送は、輸送会社に委託しており、当社は特定荷主の立場からCO2排出削減に取り組んでいます。主な取り組みとして、トラック部門においては、往復輸送の計画的実施やエコドライブを奨励するとともに、各車両にデジタルタコメーター、エコタイヤなどの省エネルギー装備の導入も奨励しています。船舶部門においては、最新の省エネルギー技術を導入した船舶を新造し就航させるとともに、既存の船舶においても省エネルギー運航を奨励しています。
2023年度のCO2排出量は、2022年度より約2%減少しました。
輸送手段 | 輸送量 (千t) |
平均輸送距離 (km) |
輸送トンキロ (千tkm) |
CO2排出量 (千t) |
船舶 | 15,955 | 502 | 8,013,408 | 108 |
トラック | 12,135 | 61 | 741,154 | 41 |
貨車 | 4,864 | 26 | 125,322 | 3 |
合計 | 32,954 | 269 | 8,879,884 | 152 |
KPI・目標 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
カーボンニュートラルの実現 (2030中間目標) CO2排出原単位※1 20%以上削減(2000年比) |
9.7% | 10.5% | 11.6% |
国内CO2排出総量※2 40%以上削減(2000年比) | 36.0% | 42.7% | 46.8% |
※1 スコープ1(化石エネルギー代替分をのぞく)+スコープ2+スコープ3(カテゴリ1,3)
※2 スコープ1(化石エネルギー代替分をのぞく)+スコープ2
(注)算定結果を見直し過去に遡って修正しました
2022年度に比べスコープ1+2におけるCO2排出原単位が減少しました。なお、2030目標のひとつであるサプライチェーン全体でのCO2排出原単位20%以上削減(2000年比)に対し、11.6%削減を達成しました。
また、コンクリート吸収によるCO2削減効果については、GCCAと協働し適切な評価方法の検討を推進しています。
(注)算定結果を見直し過去に遡って修正しました
※3 スコープ3に関しては、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.2)環境省」および「LCIデータベース IDEA version 3.2(2022年度以前)、version 3.4(2023年度)」を参照
※4 スコープ3をのぞく
化石エネルギー代替の増加による石炭使用量の減少およびセメント生産量の減少にともない排出量が減少し、2030中間目標の国内CO2排出総量40%以上削減(2000年比)を超過達成しました。
プロジェクト別環境会計 ─ 埼玉工場ガスエンジン発電設備導入
ガスエンジン発電設備は都市ガスなどの気体燃料を燃焼させる内燃機関による発電装置であり、燃焼によって得られた駆動力を電気エネルギーに変換して発電します。
2023年度には埼玉工場に7800kWのガスエンジン発電設備を2基導入し、当社国内工場としては2例目となります。同発電設備は高い発電効率と優れた環境性能を有する最新鋭の設備であり、本設備の導入により操業に必要な電力の安定調達ならびに省エネルギーかつ低CO2排出量の電力使用が可能となっています。当社は引き続き一層のCO2削減および環境負荷低減を目指しています。

埼玉工場 ガスエンジン発電設備
投資額:約36億円
CO2削減効果:5,809トン/年