価値創造へ向けて
サプライチェーンを含めた労働災害の撲滅と安全な職場環境を目指し、安全保安衛生活動をグループで組織的に展開しています。
当社は安全保安衛生方針を次の通り定めています。本方針の精神に則り、本社と事業所では年度ごとに職場の実態に即した安全保安衛生管理方針を作成しています。
当社は従業員の安全と保安および健康の確保が企業の存立の基盤をなすものと認識し、労働安全衛生法および鉱山保安法の精神に基づき労働災害および職業性疾病の発生を防止するために適切な経営資源を投入し、安全保安衛生方針を効果的に実施しています。
また、これをもとに当社グループの安全保安衛生管理についての基本的な事項を「安全保安衛生管理規程」に定め、安全保安衛生の推進に努めています。
太平洋セメント安全保安衛生方針
当社は従業員の安全と保安および健康の確保が企業の存立の基盤をなすものと認識し、労働安全衛生法および鉱山保安法の精神に基づき労働災害および職業性疾病の発生を防止するために適切な経営資源を投入し、以下の基本方針を効果的に実施していくこととします。
基本方針
- 労働災害ゼロを目指し、労使協議及び参加の下に安全保安衛生活動を推進します。
- 安全保安衛生関係諸法令を遵守するとともに、当社で定めた安全保安衛生管理規程と事業所及びグループ関係会社で定めた安全保安衛生規定類に基づき、従業員と協力会社の安全保安衛生を確保します。
- 労働安全衛生マネジメントシステムの実施及び運用を積極的に推進し、作業と設備の本質安全化並びに教育訓練や啓蒙活動を継続的に実施するとともに労働安全衛生マネジメントシステムの継続的改善で安全保安衛生水準の向上に努めます。
- 全社と事業所及びグループ関係会社の安全保安衛生委員会を通して技術の進歩及び安全保安衛生の新しい知識情報に適応し、職場環境と作業方法を継続的に改善します。
- 全社と事業所及びグループ関係会社の安全保安衛生委員会のリーダーシップで労働災害撲滅活動を進め、太平洋グループ全体の安全保安衛生の確保を推進します。
運用体制
取締役会直属のサステナビリティ経営委員会の傘下である「全社安全保安衛生委員会」を設置し、安全を所管する設備部担当役員が委員長となっています。同委員会では各事業所の推進活動を統括しており、グループ会社の安全に対してもデータの収集ならびに部門間を横断した指導を行っています。
また、本社各所管部における各事業所およびグループ会社では、労使双方で構成する「安全保安衛生に関する委員会および協力会」を組織し、事業所別に活動を推進しています。
国内のセメント工場・鉱業所の安全保安衛生管理はOSHMS※により展開されています。
※ OSHMS(Occupational Safety and Health Management System):1999年に厚生労働省が示した指針。連続的かつ継続的な安全衛生管理を自主的に行うことにより、事業所の労働災害の潜在的な危険性の低減、および快適職場を促進させる仕組み。
実現に向けてのロードマップ
全社安全保安衛生委員会では、前述の規定ならびにOSHMSに則り毎年四半期ごとにレビューを行い全社でPDCAを回しています。PDCAを回すことで全社の状況にあった目標を毎年定めています。
その中でも、普遍的かつ永続的な目標を掲げ、重点的に安全保安衛生推進活動に取り組んでいます。
また2023年度は、2022年度レビューより目標および活動内容を定め取り組みました。
目標
グループ全体で死亡災害ゼロ(CSR目標2025)
マテリアリティの目標・KPI/その他目標・目安 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
災害の発生防止 死亡災害ゼロ |
2件 | 2件 | 1件 |
全社安全保安衛生委員会目標 | |||
①グループ全体で死亡災害ゼロ | 2件 | 2件 | 1件 |
②グループ全体で休業災害を30件以下 | 36件 | 49件 | 53件 |
③グループ全体の労働災害総件数を80件以下 | 103件 | 120件 | 133件 |
(1)ルール違反災害 | 24件 | 31件 | 31件 |
(2)熱中症災害 | 6件 | 7件 | 11件 |
(3)類似・再発災害 | 67件 | 93件 | 97件 |
④当社在籍従業員の休業率 0.5%台 | 0.604% | 0.935% | 0.689% |
安全保安衛生活動の実績
2023年度の活動結果は、労働災害が死亡災害1件を含む133件、休業率は新型コロナウイルス感染症の5類変更にともない0.689%と減少しましたが目標を達成することはできませんでした。
各事業所が現場の意見をこれまで以上にを吸い上げて、すべての人が安全保安衛生に関してベクトルをあわせ活動していきます。
災害件数推移
ISO45001への取り組み
2018年3月に国際標準化機構によるOSHMSのISO45001規格が制定されました。当社は2007年より厚生労働省が示した指針に基づきOSHMSを運用していますが、国際的な企業として品質(ISO9001)、環境(ISO14001)に加え、安全衛生のISO45001規格の認証を2023年4月に本社設備部(中央機能)、上磯工場ならびに大分工場で取得しました。
2024年3月には大分工場にて認証継続のサーベイランスを受審し、指摘事項なく維持継続が決定しました。引き続き当システムを活用した継続的な改善を推進していきます。

災害防止に向けた取り組み事例
再発防止対策(死亡災害を受けて)
2023年8月にセメント工場で、協力会社の作業員がフォークリフトのマストに挟まれて亡くなる災害が発生しました。直接的には走行中にマストを上げ操作したことで、上部の設備に接触しマスト本体が破損したことが原因ですが、フォークリフトの運用や管理・マストの高さ表示の見える化が不十分であったことも間接的な要因です。全社安全保安衛生委員会はすべての事業所に前述の対策を含む「フォークリフト作業の安全化のための施策」を通知し、災害対策の展開を図りました。

再発防止対策(災害教訓の伝承活動)
災害現場に災害情報を掲示することで、災害を風化させることなく教訓として伝承する活動を推進しています。「見える化」活動はルール遵守の注意喚起と相互注意を促し、安全に対する意識向上につながっています。

グループ会社への安全活動支援
全社安全保安衛生委員会は、グループ会社の安全活動支援を行っています。2018年度から開始し、グループの国内と海外の事業所に対し安全調査を実施しています。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
国内事業所 | 1 | 7 | 14 |
海外事業所 | (活動制限) | 1 | 1 |
設備の本質安全化
各工場では現場の意見を反映して設備の本質安全化を図っています。

安全体感教育
一人ひとりの安全に対する感性を高めるため、身近な作業における危険を体験させる安全体感教育を推進しています。2018年度から各セメント工場に危険体感設備の導入や、現場設備を利用し、若手従業員など経験の浅い人にも効果的に教育ができる体制を整えています。また、VR教育を併用するなど工夫を凝らし安全に対する感性の向上に努めています。
導入した危険体感設備・器具
巻き込まれ(ローラ・チェーン・Vベルト・ベルトコンベア・ロータリーフィーダー・卓上ボール盤・エアシリンダー)/安全靴、落下物衝撃体感/墜落防止器具(安全帯)でのぶら下がり/感電・人体電気抵抗体感/指差呼称安全体感/重量物玉掛け/ディスクグラインダーのキックバック/その他
VR教育との併用
高所からの落下/感電/ベルトコンベアの巻き込まれ/重機との接触