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研究開発事例


セメント・コンクリート

コンクリート用石灰石骨材

1. 石灰石とは

 

石灰岩は、方解石;カルサイト(炭酸カルシウム:CaCO3)を主成分とする堆積岩である。方解石は無色透明の結晶であるが、方解石の小さな結晶の集合体である石灰岩は、光の屈折のため灰白色をしている。資源として利用するため採掘された石灰岩を石灰石と呼ぶ。石灰岩は地質用語であり、石灰石は鉱業用語である。

日本で現在採掘されている石灰岩の多くは、今から約3億年前に太平洋中央赤道付近に堆積した生物遺骸由来の炭酸カルシウム層が、地殻の移動により徐々に北西方向に移動し、大陸地殻との衝突により隆起し、その隆起の際、高温のマグマなどの熱源との接触による熱変成作用より不純物が取り除かれ、純度の高い石灰岩の層となり現在の日本列島の位置に現れたものと考えられている。

 

日本における2001年度の石灰石出荷量は1億8千3百万t、全世界(1999年度)の石灰石生産量は約34億4千万t、アメリカ9億7千万t、中国7億1千万tに次、世界第3位である。 石灰石は、コンクリート用骨材として古くから使用されており、さらに近年は需要が増加し、約3,600万tがコンクリート用骨材として利用されている。

 

 

2. コンクリート骨材としての石灰石の品質


コンクリート用石灰石骨材は、砕石、砕砂でありJIS A 5005コンクリート用砕石及び砕砂の物理的性能を満足する他、以下のような特徴がある。


化学組成 コンクリート骨材用石灰石の純度は、平均97.6%、19鉱山のものは純度が98%以上、最も低いものでも89%と非常に高純度である。
強度 24鉱山の平均値は約120N/mm2であり、また、ばらつきも小さい。水結合材比20%、圧縮強度140N/mm2クラスのコンクリートが石灰石砕石を用いて作られた実例があり高強度用にも十分使用できる。
アルカリ骨材
反応性
一般にアルカリ骨材反応が起こらない骨材である。Mg含有量が高い場合はアルカリ炭酸塩岩反応が、Si含有量が高い場合にはアルカリ-シリカ反応が起こる危険性がある。しかし、日本の石灰石骨材を調査したセメント協会や日本建築総合試験所の結果でもアルカリ骨材反応が有害と判定された報告は見受けられない。


 
化学組成 CaO MgO SiO2 Al2O3 Fe2O3 P2O5 S
最大 55.6 1.6 4.9 0.9 0.6 0.07 0.125
平均 54.66 0.51 0.51 0.18 0.09 0.05 0.03
最少 50 0.25 0.02 0.01 0.01 0.003 0.001
 
骨材品質 砕石(2005) 砕砂
試験項目 規格値 実測値 規格値 実測値
絶乾密度(g/cm3 2.5以上 2.70 n=42
2.66~2.74
2.5以上 2.66 n=15
2.62~2.69
吸水率(%) 3.0以下 0.43 n=42
0.17~1.09
3.0以下 1.28 n=15
0.60~1.84
安定性(%) 12以下 1.94 n=28
0.3~8.7
10以下 2.14 n=13
1.0~3.8
すりへり減量(%) 40以下 23.0 n=28
15.3~27.2
- -
微粒分量(%) 1.0以下 0.54 n=28
0.1~2.00
7.0以下 6.3 n=14
2.6~14.3
粒径判定
実積率(%)
55以上 60.4 n=24
57.5~68.5
53以上 55.9 n=5
52.9~57.5
 

3. 石灰石骨材を用いたコンクリートの特徴

 

1.アル骨がない

2.スランプが出やすい

3.強度発現が大きい

4.静弾性係数が高い

5.線膨張係数が低い

6.乾燥収縮が小さい

7.自己収縮が小さい

 
 

研究・技術開発
太平洋セメント中央研究所

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