ホームサステナビリティ新中期経営計画1 国内事業の再生

1 国内事業の再生


セメント価格政策の抜本的見直し

 国内セメント需要が年々低下する中、セメント価格はコスト上昇に応じて上げることができない状況が続いてきました。これに対し、23中計期間中には、2020年以降の新型コロナウイルス感染症拡大や2022年以降のウクライナ情勢、豪州の天災等にともなう未曽有の石炭価格・輸送費の高騰に対処するため、1トンあたり5,000円の値上げを行いました。しかしながら、高止まりした製造原価を補うまでには至らず、国内セメント事業は赤字のまま推移しました。主力事業である国内セメント事業の厳しい状況を背景として、残念ながら23中計のROE・利益率の目標を達成することはできませんでした。国内事業での収益で、国内製造・輸送設備の維持更新費用、販売費用を賄うことができなければ、持続可能な事業とは言えないと考えています。当社セメント工場は、廃棄物をセメント製造の原燃料代替として使用して循環型社会に貢献しており、生産設備の再配置も難しいため、その維持コストも確実に捻出する必要があります。また、生産設備は長期の使用により老朽化しており、設備の更新費用の確保も課題です。さらにカーボンニュートラルなど、社会の要請自体が次第に広範囲なものとなりつつあることから、これに対応する設備投資も行う必要があります。

セメント国内販売数量・価格推移
セメント国内販売数量・価格推移

 本中計では、セメント価格政策を抜本的に見直し、収益構造の改善を図ることとしました。具体的には、シェア重視から収益性重視への転換、コストアップのスピード感ある価格への反映、社会からの諸要請に対する投資コストも見据えた価格適正化に向けた諸施策を実行していきます。

国内セメント事業低迷の原因と問題点
26中計での価格政策見直し
トータルソリューションの提供

 従来当社では、セグメントごとに営業担当者を配置して、ユーザーへの対応にあたってきました。現体制は、担当者の専門知識・ユーザー情報の習得・活用などの面で有利な点もありますが、一方で、営業リソースの重複という面で、コストが多くかかります。さらに、労働人口の減少という面からも問題があります。
 そこで当社は本中計期間中の施策として、事業部間連携の向上と営業DXにより、現体制の長所を損なうことなく、営業担当者の複数事業担当化を目指すこととしました。これによって、営業体制の効率化によるコスト削減だけでなく、ユーザーの課題の解決に向けたお手伝いを総合的にできるようになります。

生産体制の最適化

 国内セメント需要は年々減少していることから、工場稼働率も下がってきています。連続運転と安定生産により、変動費、固定費ともに下がっていくことから、海外で需要が高まっている混合セメントの生産・輸出を拡大することにより、稼働率の維持を図っていきます。

混合セメント化が進む東南アジア市場
混合セメント化が進む東南アジア市場

 また当社では、セメント製造の原燃料代替としての廃棄物使用量の拡大、さらに処理困難な廃棄物の処理拡大のため、積極的に技術開発を行い原燃料費削減、処理費収入最大化を図ってきました。本中計では、燃料系廃棄物の利用拡大、下水汚泥の前処理設備の導入拡大による下水汚泥のセメント原料化拡大等により、さらなる原燃料費の削減・廃棄物処理費収入最大化を目指し、国内セメントの製造原価低減を図ります。
 さらにクリンカ冷却設備の最新型への切り換えによる電力費低減、自家発電燃料の石炭からメタンへの置き換え等による燃料費の低減なども同様に、実施していきます。
 これらの施策は、循環型社会、温室効果ガス削減にも貢献するとともに原価低減にも資するものです。

Copyright© TAIHEIYO CEMENT CORPORATION All Rights Reserved.
ページのトップへ戻る